「ららぽーと福岡」オープンの衝撃 ショッピングセンター飽和の時代、勝算は?勝ち組の研究(3/5 ページ)

» 2022年04月26日 05時00分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]

体験を売る時間消費型SCで優位性を築く

 もう一つの要素は、優位性です。「いつかどこかで見たことがあるSC」では今さら作る意味がありません。その点で、ららぽーと福岡がチャレンジしているのが「体験を売る時間消費型SC」です。

 ららぽーと福岡は17施設あるららぽーとの中でも上位の規模です。延床面積は20万6500平米、店舗面積7万3100平米、駐車台数3050台というリージョナル型SCです。店舗面積でいうと、ららぽーとEXPOCITY(大阪府吹田市、15年開設で7万1000平米)と同程度の規模です。しかしEXPOがテナント300店舗ほどあるのに対して、福岡は222店舗と少なめです。1店舗当たりの売り場面積を大きめにとり、ゆとりある設計にしているのが特徴といえます。

導線も広く、店舗間口も広めでゆとりある空間設計

 同施設の初期コンセプト資料には「Park Mall Experience」という言葉がありました。これがオープンリリース資料には「出会い×体験の広場 〜“ふれあい”と“つながり”のまちへ〜」と変化しています。企画当時以上に、買い物だけでなく、食、エンターテインメント、スポーツ、教育などを通じて、人と人とのつながりを共有できる体験型施設を目指すとしています。従来の物販中心のSCづくりからの脱却を目指す姿勢がうかがえます。

 実際にららぽーと福岡の「売り」は次の3つです。

(1)9つのパークを設置

 9つのパーク(広場)を設置しています。メインスペースの「オーバルパーク」、農園体験ができる「アグリパーク」や「スポーツパーク」など、30〜40代のニューファミリー層を中心に、その子どもたちや祖父母にも楽しんでもらえる「心地いい体験」を売りにしています。1〜5階の全フロアにパークを配置しているのが特徴です。ここまで大胆に広場を設置した例はありません。

SC外側に店舗を配置したオープンモールの真ん中にあるオーバルパーク

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