「勘違い」だらけの裁量労働制 労働時間や手当の知られざる実態はこれからの「労働時間」(2)(1/4 ページ)

» 2022年04月28日 07時00分 公開
[溝上憲文ITmedia]

 リモートワークの普及など自由度の高い働き方が増えるのに伴い「裁量労働制」への企業の期待も高まっている。裁量労働制は、業務に対する裁量性が大幅に本人に委ねられている柔軟な働き方だ。出退勤の自由だけではなく、効率よく働けば会社の所定労働時間以下の稼働でも許される。

 よく比較される制度に、フレックスタイム制がある。コアタイムなしの月間フレックスタイムは出・退勤の自由があり、1日4〜5時間勤務も可能である。しかし、月間の所定労働時間の合計、例えば160時間(8時間×20日)をクリアしなくてはならないという違いがある。

「勘違い」だらけの裁量労働制 正しい手続きと制約

画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ

 裁量労働制の自由度は高いが、それだけに制約もある。

 専門業務型(専門型)と企画業務型(企画型)の2つがあるが、専門型の適用労働者は1.2%、企画型は0.3%と、非常に少ないのが現状だ。

 裁量労働制を定額残業代制やみなし残業と同じものだと誤解している人は多い。会社から「あなたは裁量労働だ」と言われたら、裁量労働になると勘違いしていることもある。

 裁量労働制は、法的に認可された働き方であり、あらかじめ労使協定(専門型。企画型は労使委員会)で定めた時間を労働したとみなす。労使協定を届け出、受理されてから有効になる。労使協定は使用者と過半数労働組合、労働組合がない場合は過半数代表者と協定を結ぶが、その中身は多岐にわたっている。

 まず、働いた時間とみなす1日の「みなし労働時間」を決める。基本的に何時間でもよいが、法定労働時間の8時間を超える場合は、その時間に見合う時間外割増賃金を基本給に含めるなどの方法で支払う必要がある。

 また、裁量労働といっても労働時間規制の制約を受けないわけではない。

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