ロシアに進出している企業はどうなる? 撤退は「吉」か、継続は「凶」か世界を読み解くニュース・サロン(4/5 ページ)

» 2022年05月06日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

ミャンマーでビジネスを続ける理由

 こうしたリストも、無視するわけにもいかない。例えば、リストにある日本の大手商社、住友商事は公式サイトにて、ミャンマーでビジネスを続けている理由をこう説明している(参考)。

 「当社は、2014年の事業参入以来、一貫してミャンマーの発展と国民生活の向上のために尽力してまいりました。ミャンマーにおけるあらゆるビジネスが難しい状況に置かれており、様々な意見があると承知しておりますが、我々の活動には、その力が及ばない前提や状況はありながら、ミャンマーの人々の生活や経済活動に欠かせない通信サービスを技術・営業面から支援する観点のみならず、人権尊重を図るという観点でも、プラスの影響があると信じています」

 このように、きちんとした説明が求められるのである。

 ただこうした問題に政府が絡んでくると、事態は複雑になる。対ロシア攻勢で先導的な役割を担っている英国は、リシ・スナク財務相が企業はロシアに居続けるべきではないとし、「もし企業や投資家がロシアとの関係を断つことを決めれば、英政府が十分にサポートをすることを明確にしておきたい」と述べた。

ロシアに厳しい経済制裁を続ける英国

 英国は今回、情報工作などにおいても、米国と並んでNATOや価値観を共有する同盟国などを率いるような動きを見せている。英国は、欧米諸国による大規模な経済制裁に加えて、ロシアに進出している民間企業を追い出して、ロシア経済を内側から疲弊させることも戦略としているのである。

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