ドラマ『正直不動産』、上司の叱責やライバル企業の嫌がらせは違法じゃないの? 弁護士に聞いてみた身近なネタから法律相談(3/3 ページ)

» 2022年05月10日 07時00分 公開
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ライバル企業からの嫌がらせは?

──ドラマで描かれている不動産業界の厳しい環境は、社内だけではありません。主人公の勤める不動産会社は、ライバル企業から嫌がらせを受けており、販売中の物件を事故物件だと偽る情報をネット上にアップされるなどの被害があります。

 こうした営業妨害は違法になるのでしょうか。

佐藤弁護士: ライバル企業の物件について「事故物件だ」などと虚偽の情報を流せば、ライバル企業の商品の品質や企業そのものに対する社会的信頼や評価を下げることになり、相手企業の業務を妨害することにもなります。そのため、名誉毀損罪や信用毀損罪、業務妨害罪などの犯罪が成立する可能性があります。

 また、「事故物件」との誤情報が広まることで、買い手が見つかりにくくなり、経済的損失が生じることも考えられます。そのため、虚偽の情報を拡散させられた企業から、損害賠償請求され、民事上の賠償責任を負う可能性もあります。

──ドラマにあるような状況でも、過度なものは違法になる可能性があることが分かりました。

佐藤弁護士: ドラマではコミカルに描かれていますが、現実にこうしたトラブルに巻き込まれた場合には、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

 労働者は法律によって守られています。企業内では当たり前になっているルールや上司の言動であっても、実は法に触れていることもあります。一人で悩み苦しむ前に、企業の相談窓口や労働基準監督署、弁護士などに相談しましょう。

──ありがとうございました。

NHK公式サイトより

編集部コメント

 『正直不動産』はコメディードラマではあるものの、ドラマ・原作漫画ともに不動産業界の実際の商慣習をもとに作られた作品だ。また、不動産業界に限らず、競争が激しい現場では少なからず似たような状況が起きているのかもしれない。

 しかし、佐藤弁護士に回答してもらったように、状況によっては違法となる可能性がある。当然、業界全体のリテラシー向上が求められるが、働く個人も、法律に対する正しい知識を身に付けていざという時に正しい対処ができるようにするのが望ましいだろう。

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