本連載は、『「働かないおじさん問題」のトリセツ』(アスコム)の著者、難波猛氏が、著書の内容を基に最新の情報を加えて加筆修正したものです。
「働かないおじさん」と似たニュアンスで、昔は「窓際族」という言葉がありました。決して好意的な表現ではありませんが、少なくとも以前の企業には「部下なしの閑職でも、そのままの肩書で雇用し続ける」余裕と体力があった裏返しかもしれません。
最近では、ミドルシニアの処遇に関しても、「降格・降給の厳格化」「管理職からの役職定年・ポストオフ」、職務内容を明確に定義した「ジョブ型」などの人事制度を適用する企業も増えています。
ジョブ型の場合、それぞれの専門性や強みを生かせる業務に特化できるので、経験豊富なミドルシニアが最前線で活躍できる可能性も十分考えられます。
一方で、余人を持って替え難い専門性や卓越したマネジメント能力を保有していない社員にとっては、「社内での居場所を、自分で勝ち取らないと生き残れない」というシビアさも含んでいます。
また、一時期問題になった「追い出し部屋」のように、社員から業務を取り上げる仕打ちは配転命令権の濫用(らんよう)やパワーハラスメントに該当し法律違反となります。
厚生労働省はパワーハラスメントを6類型に定義付けをしていますが、その中に「人間関係からの切り離し」「過小な要求」があります。窓際や追い出し部屋に追いやって仕事をさせないのは、この「切り離し」「過小な要求」となり、倫理的にも法律的にも許されない可能性が高いです。
これからの時代、企業側は「窓際に置いておくことは難しい」、本人側は「のんびり窓際で定年を待つのは難しい」という現状を理解し、双方が真剣に解決策を模索することが必要だと考えています。
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