ソフトバンクG1.7兆円の最終赤字 孫正義氏「手元に現金を厚く持つ」戦略とは：投資は「エコシステム」（1/4 ページ）

[秋山未里，ITmedia]

　ソフトバンクグループ（以下、SBG）は5月12日に、2022年3月期の連結決算を発表した。最終損失は1兆7080億円で、過去最大の赤字となった。同社の前期業績は過去最高で、国内最大の純利益（4兆9879億円）を記録していたが、1年で大きく赤字へと転じた。

SBGの2022年3月期の連結決算は、1.7兆円の最終赤字だった＝写真は「2022年3月期 決算説明会」のオンライン配信より（以下同）

　こうした業績の悪化や、ウクライナ侵攻と新型コロナウイルスの影響が続くことを受けて、孫正義会長兼社長は「われわれSBGが取るべき行動は“守り”です」と今後の方針を話した。

方針は「手元に現金を厚く積む」「新しい投資は厳格な基準で」

　どのような“守り”を展開するのか。孫会長兼社長は「一つは継続的な資金化、つまり“手元に現金を厚く積む”ということです。次に、新しい投資には厳格な投資基準を設けます」と2つの軸を説明した。

継続的な資金化と、投資基準の厳格化

　続けて、「多くの人がSBGに抱いている懸念として、保有株が下落しているのではないか、借り入れが多すぎるのではないか、資金繰りが危ないのではないかという3点があるでしょう」と推察を話す。

　それに対し、NAV（時価純資産）が18.5兆円、LTV（純負債／保有株式）が20.4％、現預金が2.9兆円であることをアピールした。孫会長兼社長は特にNAVとLTVについて「会計上の利益よりも大事だと思っています」と話した。

懸念を打ち消す“事実”