ソフトバンクG1.7兆円の最終赤字 孫正義氏「手元に現金を厚く持つ」戦略とは投資は「エコシステム」(3/4 ページ)

» 2022年05月12日 20時50分 公開
[秋山未里ITmedia]

投資は「エコシステム」で実施

 LTVの改善方法について、孫会長兼社長は「投資を行っていないわけではありません」と説明。ただし、保持していた資産の売却金額(21年度で5.6兆円)が、投資資金(5.2兆円)を上回るように運用した。

投資は「エコシステム」で実施

 「新規の投資は、回収した資金で賄う。この“エコシステム”が回り始めています。売却するのはほとんど上場株です。一方、新たに投資するのはほとんどが未上場株。ビジョンファンドで新たに未上場株に投資をし、それが上場してしばらくして適切な時期に徐々に売却する。その資金を未上場株に投資する、というエコシステムです」(孫会長兼社長)

 さらに孫会長兼社長は「世界の状況が混とんとしているので、守りを固め、現金を手元に厚く持つ方針です。一部売却した上場株の資金は、能天気に新たな投資に回すのではなく、現金を手元に積み上げています。また、一部の資金は自社株買いにも回しています」と続けた。

“攻め”はアーム 「攻めれば攻めるほど、現金が戻ってくる」

 孫会長兼社長はここまでのプレゼンテーションを受けて「孫さんらしくない、ソフトバンクらしくない、そんなにしおらしくしていいのかと言われそうですが、“攻め”も忘れずにやっていきたいです」と話す。

 その“攻め”に該当するのが、英アーム(ARM)の事業だ。ただし、アームに対しても「新たなお金はなるべく使わずに、今持っている持ち駒の中で攻めを進めていく」と話す。

「攻め」はアーム事業

 アームの売上高の成長を説明した上で、「既に多くのメーカーと契約ができている。契約から出荷数を考えると、2年先、3年先までの業績が予想できますが、これから絶好調に伸びていく」「攻めれば攻めるほど、現金がどんどん戻ってくる会社といえます。SBGの今の状況を考えても(アームに期待をかけるのは)理にかなっています」(孫会長兼社長)とアピールした。

 また、孫会長兼社長はアームの売却騒動を受けて「エヌビディアへの売却は、政府の許認可が下りなかった。むしろこれ幸いとして、アームのこれからの爆発的な成長をどうしたら果たせるかに、自分自身の頭脳・精力をかなり集中させています。(アームの株を)持っていてよかったとなるように頑張りたい。そうなると信じています」と意気込みを語った。

 アームは現在、上場準備をしている。上場準備の障害であったアームチャイナのガバナンスも正常化に向かっていると状況を説明した。

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