ゼロ円維持が可能になったのは昨年4月からのこと。筆者も当時、iPad用のデータ通信回線用に「Rakuten UN-LIMIT VI」を契約した。
日常的には使わない通信モデム用の契約や、あるいは子供向けに通信量・アプリを管理しながら使わせている場合、他の主回線契約で通信量上限に達した時のバックアップ用など“維持費がゼロ”ということを理由に、このタイミングで楽天モバイルと契約、あるいは一部の契約を切り替えたという例は多いだろう。
回線維持にコストがかかるのは当然で、そのために最低利用料金が設定されることに抵抗はないが、それでも「使わない場合、無料になるなら」と気軽に契約した回線は、eSIM対応端末が進んできたこともあって決して少なくないだろう。
維持費無料が前提で契約した消費者が、維持費の有料化で離れてしまうのはある意味、当たり前のことで、発表後にSNSなどで怒りの声が上がっていることに違和感はない。
楽天モバイル会長の三木谷浩史氏も、既存利用者は維持費無料のまま継続利用をさせたいと考えていたようだが「電気通信事業法による制約」(三木谷氏)で、「Rakuten UN-LIMIT VI」ユーザーも自動的に1078円からの「Rakuten UN-LIMIT VII」へと移行されることになってしまった。
新たに電波帯域が割り当てられた新規参入事業者である同社は、他社ネットワークのMVNO事業から自社ネットワークへの移行を、自社ネットワークの整備状況に応じて段階的に進めてきた。
「Rakuten UN-LIMIT VI」も、そうした段階的な整備の中の一つにあった戦略で、維持費ゼロ円で使い始めてもらい、通信エリアや速度がどの程度改善してきているかを実感してもらうことが目的だった。
つまり、「いずれは主回線として使ってもらえる」──そんな自信を持って維持費無料プランの提供を開始したと考えられる。
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