筆者はここに和菓子も入るのではないかと思っている。そして、それは日本の中小企業全体にも言える。
中小企業も生産性向上のために規模拡大を目指すべきだという話になると、業界団体や中小企業の専門家は顔を真っ赤にして「小さい会社には独自の技術がある!」「町工場でも世界と勝負できる技術がある!」と反論する。
高い技術力さえあれば、小さな会社はいつまでも小さなままで食っていける、というロジックなのだ。これは家族経営の老舗和菓子店でもよく見られる。
日本人はどこかの業界が低迷すると、国が悪い、若者が離れたのが悪い、と環境的なことばかりを問題視するが、実は業界側も悪い。人口減少という問題から目を背けて、「規模を大きくして生産性を向上させる」ことから逃げてきたからだ。
人口減少は、「技術力」だけで乗り切ることはできない。老舗和菓子店の相次ぐ廃業は、そんな厳しい現実を改めて、われわれに教えてくれているのではないか。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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