成城石井、上場へ 消費意欲が下がる中、高価格帯スーパーに勝ち目はあるか?小売・流通アナリストの視点(1/5 ページ)

» 2022年05月30日 05時00分 公開
[中井彰人ITmedia]

 上場食品スーパー各社の2021年度(22年2月、3月期)決算がだいたい出そろった。コロナ禍の巣ごもり需要の恩恵を受けて、ほぼ全社、増収増益であった20年度とは異なり、前年度の反動から多くの企業が減収もしくは減益となった。

失われた「巣ごもり特需」

 スーパーマーケット販売統計(全国スーパーマーケット協会)の既存店売り上げ動向を見ても、20年の大きな伸びと21年度の反動落ちが顕著にうかがえる結果となっており、「巣ごもり特需」効果はほぼ失われた。

食品スーパーの既存店売り上げ増減率(対前年同月比)の推移(全国スーパーマーケット協会「販売統計調査」より)

 2〜3月に決算期を迎えた主な上場食品スーパー19社の営業収益、営業利益を集計した。21年度の増収増益達成企業は、ヤオコー、ヨークベニマル、ベルク、ハローズ、エコスの5社のみとなった。

各社IR資料より、筆者が作成

 ほぼ全社が増収増益となった20年度とは様変わりの状況で、業界の「実力派」企業を除く大半が、反動落ちの影響を受けた。コロナによる「特需」環境が終わった業界は、コロナ前からの課題であった市場縮小、再編という課題に再び向き合うことになる。

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