福岡の地銀グループ、ふくおかフィナンシャルグループ傘下の「みんなの銀行」が5月28日に、サービス開始一周年を迎えた。スマホ専業として、デジタルネイティブをターゲットとした結果はどうだったのか。
アプリケーションダウンロード数は105万、口座数は40万口座。そして預金残高は58.5億円となった。この結果に、永吉健一頭取は「思惑通りには集まらなかったのは残高くらいだ」と胸を張る。
ネットバンクでは楽天銀行が1200万口座を超え首位、そしてイオン銀行が770万超、PayPay銀行540万、住信SBIネット銀行530万、auじぶん銀行430万、ソニー銀行160万超と続く。みんなの銀行の1年間で40万口座というのは悪くない滑り出しだ。
口座増には、SNSを使ったバイラルマーケティングが効果を発揮した。マスメディアを使った広告宣伝の代わりに、初期から友達紹介プログラムを展開。紹介された人が口座を開設すると、双方に1000円ずつ入金される。いわゆる口座開設の公式アフィリエイトともいえ、ブログやSNSではみんなの銀行の紹介が相次いだ。40万口座のうち紹介プログラム経由は74%に上るという。
口座開設が順調な一方で、振るわなかったのは預金残高だ。当初、目標として250億円を掲げていたが、届かなかった。58.5億円を口座あたりに直すと約5000円。ほとんどのユーザーが、口座にお金を入れていない。
ただし休眠口座ばかりというわけではない。月間アクティブユーザー(MAU)は54%に上る。「サブ口座として最強」というユーザーのコメントがあるように、補助的な銀行口座という位置付けが多いようだ。
これは施策次第で預金残高は増加することも意味している。「12月にボーナスキャンペーンを行ったときは、あっという間に預金残高が100億円くらい増えた」と永吉氏は話す。ただし、キャンペーンが終わるとその預金は出ていってしまったという。
給与を振り込むメインバンクのように、余剰資金をおいておく口座というよりも、必要に応じて資金を移すサブ口座。それが現在のみんなの銀行の立ち位置だ。そのため、安定度は低い一方で、メリットを打ち出せばユーザーは敏感に反応する。
5月28日からみんなの銀行は貯蓄口座の預金金利を、従来の0.03%から0.10%に引き上げた。さらに有料のプレミアムサービス利用者には0.20%を上乗せし、0.30%とした(記事参照)。これは、あおぞら銀行BANK支店の0.20%、auサービス複数利用時のauじぶん銀行の0.20%を超えて、業界最高利率となる。
この金利にユーザーはすぐさま反応。5月30日時点で足元の預金残高は75億円まで増加しているという。「金利が高いと、みんなにメリットがあり、お金は集まる」(永吉氏)
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