「サーモン」輸入にウクライナ侵攻の影響 それでもスシローやくら寿司が大きく慌てていない理由長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)

» 2022年05月31日 18時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

回転寿司への影響は?

 回転寿司各社のサーモンへの対応はどうか。

 「スシロー」チェーンを展開するあきんどスシローでは、110円の皿では、ノルウェー、チリなどの冷凍品を仕入れている。ノルウェーだけでなくさまざまな国から調達しているので、品切れを起こす事態は起こっていない。

スシローの青森県産サーモン(筆者撮影)

 チルドでは、5月12日から期間限定で「青森県産生サーモン」を販売している。世界遺産・白神山地からの流水と津軽海峡の潮の流れで育ったサーモンを使用しており、こだわりの商品として位置付ける。引き締まった身と上品で程よい脂ののりが特長で、顧客からの評判が良いという。

スシローのサーモン(筆者撮影)

 「くら寿司」でも、ノルウェー、チリ、カナダなど、約500店ある店舗に行き渡るように1つの産地ではなく数カ国に分散させている。年間契約で購入しているので現状の問題はない。

 フェアで国産のご当地サーモンも扱っている。5月10〜22日、昨年に続いて福井県産の希少な「ふくいサーモン」を販売。脂の甘みとフレッシュさが抜群と好評だそうだ。

くら寿司のふくいサーモン(出所:プレスリリース)
ふくいサーモンの水揚げ(出所:プレスリリース)
ふくいサーモン(出所:プレスリリース)

 ゼンショーグループの「はま寿司」でも、ノルウェーのほかにも、チリ、フェロー諸島、英国、デンマークと5カ国から輸入していて、リスクヘッジは万全。「在庫は全く問題ない」(はま寿司・広報)とのことだ。

はま寿司のサーモン三種盛り(サーモン、大とろサーモン、焼きとろサーモン)

 カッパ・クリエイトの「かっぱ寿司」において、サーモン、とろサーモン、焼きサーモンの原産地はどうなっているのか。チリ、ノルウェー、デンマーク、英国、ロシア、日本、トルコ、スウェーデン、アイスランド、エストニア、フェロー諸島、ポーランドと多岐にわたる。数あるネタでもこれだけ多数の国から調達しているのは、サーモン系のネタだけで、それだけ万全を期しているのだろう。

 このように、回転寿司各社ではサーモンを、ノルウェーだけでなくさまざまな国から輸入していて、リスクを回避するポートフォリオを組んでいた。同様に、カニ、イクラのようなロシアとの交渉が必要なネタについても、リスク分散と年間契約で、必要分を確保している。

 その一方で、国内に100種類以上あるといわれる、中小零細のご当地サーモンをスポット的に取り入れて、グルメ志向の強い回転寿司ファンに喜ばれている。

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