80年代、ノルウェーの水産省は「プロジェクト・ジャパン」と銘打ち、ノルウェー産シーフードを日本に広める活動を始めた。着目したのは、日本の伝統食であるサケが寄生虫の危険性があるため、加熱処理したものしか食べられていなかったこと。
ノルウェー産サーモンは刺身として生食できることをアピール。日本のパートナー企業やシェフに対して普及活動を実施した。ノルウェー側と協定を結び、寿司店向けにノルウェーサーモンを最初に販売し始めたのは、ニチレイだった。
伝統的な握り寿司、巻き寿司、押し寿司などのネタにサケは存在しなかった。まずは回転寿司からサーモンは普及していった。回転寿司の発展にノルウェーサーモンは大いに寄与している。
さらに昨今は、世界的に和食の人気が高まっているが、ノルウェーサーモンはフランスをはじめとする各国で最も人気のある寿司ネタとなっている。つまり、ノルウェーサーモンは寿司の国際化にも重要な役割を果たしている。
ノルウェーは世界第2の水産物輸出国であり、米国に次ぐ大きなシーフードの市場である日本を重視している。
サーモンと並ぶ戦略商品のサバは、最も脂がのっている8〜11月にしか漁獲されない。シーズンはこれからなので、ロシアのウクライナ侵攻の影響はない。
漁の時期を絞り乱獲しないので、サスティナブルにサバが供給できる。水揚げ後にすぐ冷凍され、コンテナで日本に輸送されるので、年間を通してノルウェーサバが流通している。
他にもタラバガニ、ズワイガニ、ホタテ貝、タラ、ニシンなどもあるので、日本人に認知してもらいたいとクアルハイム氏は考えている。
マルハニチロにも、ノルウェーサーモンがタイトなのかを聞いてみたが、「冷凍がほとんどで十分な量を確保しており、産地も分散させている。ロシアのウクライナ侵攻の影響はあまりない。他の魚種についても在庫がある」とのことだった。
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