えっ、1泊100万円の部屋が好調なの? 「稼働率が70%を超えた」衝撃水曜日に「へえ」な話(4/5 ページ)

» 2022年06月01日 09時10分 公開
[土肥義則ITmedia]

単価アップの作戦

 ところで、安比高原のスキー場には、どのくらいの人が来ているのだろうか。歴史をさかのぼると、1991年には約150万人が訪れていたそうだ。当時は交通渋滞が頻繁に起きていたが、いまは違う。新型コロナの感染拡大の影響も受けて、2021年のシーズンは約26万人である(ピーク時の6分の1ほど)。

 「目標50万人といっても、バブル時の3分の1でしょ。ウチの会社のノルマなんて、過去最高の1.5倍だからね」などと思われたかもしれないが、当時と今とでは違うことがある。高級ホテルを建てて、英国の名門校を誘致して。このほかにもさまざまな手を打って、富裕層を集めようとしている。つまり、全体の数は減っても、1人当たりの単価を上げる作戦に出ているのだ。

アフタヌーンティーも用意している
洋食のディナーコース

 もうひとつ、忘れてはいけないことがある。コロナの感染が広がって蒸発した、外国人観光客だ。コロナ前、安比高原に来る人の3分の1は外国人観光客だったので、その人たちが加わると、年50万人という数字はそれほど難しくはないのかもしれない。水際対策などが緩和されたことによって、今後、外国人観光客の増加が予想されるが、すでに海外の人から「100万円の部屋は空いているの?」といった問い合わせがきているそうだ。

 となると、安比インターコンチの稼働率は上がりそうだが、一方で課題もある。“あれもこれも”がないことだ。筆者が取材したところ、ホテルにはお金持ちを満足させる設備が整っているし、サービスも手厚い。しかし、である。ホテルの外に出るとどうか。冬はスキーを楽しむことができるし、夏は散策などができる。ただ、ランチを楽しむレストランが不足しているし、大型の商業施設もないし、ナイトスポットもない。

 ホテル側としては、1泊よりも2泊、2泊よりも3泊、3泊よりも……といった形で、多くの人にできるだけ長期に滞在してもらいたい。しかし、周囲の環境に目を向けると、コンテンツが圧倒的に不足しているのだ。このことについて、広報の阿部さんも認識していて「ご指摘の通り、不十分なところがまだまだありまして。できるだけ多くの人に楽しんでもらえるように、さまざまな店を誘致しているところです」という。

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