繰り返しになるが、最も高い部屋の料金は「100万円から」である。にもかかわらず、なぜ稼働率が70%を超えているのだろうか。安比インターコンチで広報を担当している阿部隼人さんに聞いたところ、理由は2つあるという。
ちょっと話がそれてしまうが、ホテルファンの間でよく聞く言葉がある。「オレはハイアット派だな」「ワタシはマリオット派ね」といった感じで、それぞれ“推し”のホテルがある。その理由を聞くと、ランチをよく利用していたり、部屋のインテリアが好みだったり、ロビーでの居心地がよかったりといった声が多い。ということは、全国にインターコンチ推しがいて、新しいところができたとなれば「急げー!」といった具合に、泊まっていく人がいるのかもしれない。
阿部さんに尋ねたところ、「その通りです」とうなずいていた。全国にその数がどのくらいいるのか分からないが、予約状況を見ていると、この勢いはしばらく続きそうである。
もう1つの理由が「学校」である。英国の名門私立校「ハロウスクール」の姉妹校が8月に、安比高原で開校するのだ。小学6年〜高校3年生(11〜18歳)の生徒を受け入れるわけだが、国内だけでなく、海外からもやって来る。ちなみに、この学校を卒業生をみると、英国のチャーチル元首相のほかに、歴史上の人物がズラリと並んでいる。卒業生の多くは、オックスフォード大やケンブリッジ大に進学するそうだ。
個人的に驚いたのは、学費である。全寮制ということなので、そこそこいるんだろうなあと思っていたが、年間850万〜920万円もかかるらしい。「4月から募集を始めていまして、学校の見学や面接などで来られた際に泊まられる方もいらっしゃいます」(阿部さん)
子どもの学費に年1000万円ほど出せる人たちなので、1泊100万円の部屋に泊まるのも、それほど難しい話ではないのかもしれない。ハロウは将来、定員920人を見込んでいるので、そうなるとどんなことが予想できるのか。「920+保護者+兄弟姉妹」という計算ができるので、学校ができることによるホテルの経済効果はかなりあるとみていい。
安比高原にハロウが開校するのは、“たまたま”ではない。実はホテルを運営している岩手ホテルアンドリゾートが誘致したのだ。同社は「安比バレー構想プロジェクト」なるものを掲げていて、スキー場の来場者50万人を目指している。そのために、さまざまなプロジェクトが動いていて、高級ホテルをつくったことも、英国の名門校を誘致したことも、綿密に練られたシナリオに書かれていることである。
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