必ずしも「日本のDXはダメダメ」ではない 日本人は何が得意なのか?IPA×ITmedia DX対談企画(第2回)(1/3 ページ)

» 2022年06月02日 07時00分 公開
[ITmedia]

 なぜ、日本のDXは進まないのか? 日本企業がDXで成果を挙げるために、どんな視点が欠けているのか? 本企画では、そんなテーマをもとに、IPAの境真良参事(社会基盤センターDX推進部長)と「ITmedia DX」の内野宏信(編集委員)が対談しました。

 前回の記事では、日本企業の2割以上が「全社的にDXに取り組んでいる」と回答した、という調査結果から、日本企業特有の“罪な構造”を指摘しました。しかし必ずしも「日本のDXがダメ」というわけではないと、内野編集委員は強調します。日本のDXの光明は、どんなところにあるのでしょうか。

photo 左からIPAの境真良参事(社会基盤センターDX推進部長)、ITmedia DXの内野宏信(編集委員)

必ずしも「日本のDXがダメダメ」というわけではない

 DXはどの領域から進んでいるのでしょう? 日本でも、B2Cの世界から進んでいるのでしょうか。

内野 B2BかB2CかでDXを語ると少し難しくなってしまいますが、日本企業がDXをやらなければいけないと思うきっかけになったのは、B2CにおけるITの重要性の高まりが強いと思います。一方、B2Bの世界では、企業内の取り組みに関していうと、やっぱり近年の働き方改革、人材不足がトリガーになっていると思います。

 私から見ているともう一つ、語弊があっても、あえてこの言葉を使うべきだと思うんですが「インダストリー4.0」。日本のDXを語る上では、この文脈も加味されると思うんですね。

 注文があったら、システムの中で自動的に発注されて、最終的に最短ルートで顧客のもとに届く──というのが、インダストリー4.0が示した理想でした。社会システム全体が受注生産型に移行する中で、私は「これって要するにトヨタ流のジャストインタイム方式を、電子化して産業全体に適用しようということですよね?」と思っています。

 こういう人やモノが実際に動く次元のものが加味されて、日本のDXのイメージはハイブリッドになっている気がするんですよ。ドイツのインダストリー4.0、工場由来のものと、米国のEコマース、ネットビジネス由来のものとの混合というか。

内野 そうですね。それがDXを正しく捉えにくくしたり、「これをやれば」といった形で手段先行になったりしている一因なのかもしれません。ただ、日本のDXについてダメダメ論ばかりが目立っていますが、必ずしもそうじゃないんじゃないかとも思うんです。

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