客が悪質なクレームを店側に突き付ける「カスタマーハラスメント」(カスハラ)。従業員を下の立場と見なして無理な要求や暴言、暴力行為などをはたらく悪質な実態が報告されており、国会でも法制化に向け議論が始まる。カスハラ防止に向け、独自に対策を取る店もあるが、一歩間違えると、悪質クレーマーの怒りに油を注ぎかねない危険性もはらむ。
交運労協はカスハラの実態と対策を話し合う集会を開いた(5月23日、東京都港区・筆者撮影)
5月23日に開かれたカスハラの実態と対策を話し合う集会(交運労協主催)。登壇した厚生労働省ハラスメント防止対策室長の中込左和さんは、こんな事例を紹介した。
「あるドラックストアが独自に作成した『カスハラを許さない』と書いたポスターを店内に貼ったところ、利用客が『クレーマー呼ばわりするのか』と返って逆上する事態になってしまった」
その後、このドラッグストアは、厚労省などが作成した啓発ポスターに貼り替えたという。
「役所から掲示するように指示されています、と説明ができ、利用客からは『そうなのね、大変ね』と理解を得られるようになった」という。
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客が悪質なクレームを店側に突き付ける「カスタマーハラスメント」(カスハラ)が深刻度を増している。暴力行為、土下座の強要、無断撮影しSNSに投稿――。度が過ぎた行為に、現場は苦悩を募らせる。体調不良や離職にもつながりかねないカスハラ被害に、有効な手立てはあるのか。鉄道や航空、輸送などの現場で働く人が集い、カスハラの実態と対策について話し合った。
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