SDGsはある種のバズワードのようになっている一方で、「必要なのは分かるけど、自分には関係がない」とどこか他人事に感じている人も少なくないかもしれない。そもそもSDGsは、社会全体で取り組むべき「地球規模の課題」とされている。「社会全体」の中には、国も、そこで暮らす私たちも、そして企業も含まれている。
しかし、企業で取り組むSDGsと聞くと、「体力のある大企業がすること」という認識を持たれがちだ。そもそも企業がSDGsに取り組むメリットは何なのか。企業イメージ向上になるとはよく聞くが、それだけを動機にするのはどこか空々しい気がするし、何よりどこを目指しどう行動を起こせばいいのか――目的設定すらままならないという企業も少なくないのではないか。
そこで本記事では、ESG※やSDGsへの知見が深く、オンラインコーチング「学びのコーチ」の事業責任者を務めるパーソルイノベーションの柿内秀賢氏に、「企業がSDGsに取り組むべき理由」をずばり聞いてみることにした。すると、SDGsとDXとの知られざる関係性を軸に、「なぜSDGsやDXが必要なのか」「これらに取り組むことが企業やそこで働く人にとってどのようなメリットがあるのか」が見えてきた。
※環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)を組み合わせた言葉で、企業が社会的な目標達成のため、どの程度取り組んでいるか、貢献しているかを評価する観点
“SDGsは社会や環境に配慮するもの”“DXは自社の働き方を変えるもの”のように、それぞれ別に取り組むこととして認識しがちだが、両者の目指すものは実は共通していると柿内氏はいう。
「SDGsの17のゴールには、経済的に成長していくことや、皆が楽しく暮らしていける社会をつくること、地球環境を守ることなどが含まれ、これら全てが『三方よし』になる状態が理想です。そして、それをどのように目指すのかが、SDGsのひとつの大きなテーマとなっています」(柿内氏)
一方のDXは、スウェーデンのエリック・ストルターマン教授が2004年に提唱した概念が起源とされ、「人々の生活をあらゆる面でよい方向に変化させ、生活がより豊かになるもの」であると捉えられている。ここでポイントとなるのが、「豊かさ」の定義だ。
「DXで指す『豊かさ』は、必ずしも経済的な豊かさだけを指すわけではなく、社会や環境の豊かさも含まれていると考えています。つまり、どちらも経済と社会、そして環境をよりよいものとすることを目指す取り組みで、見ているもの、目指しているものは同じということです」(柿内氏)
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