【独自】タニタの不健康な“お家騒動” 正反対の主張で争う、現社長と父・兄弟パワハラの報告も(3/4 ページ)

» 2022年06月06日 07時00分 公開
[新田龍ITmedia]

パワハラは「業績が下がってきたので、ピリッとさせるため」

 社内からは千里氏のパワハラについても複数の被害者から声が上がっている。21年10月の週刊文春の記事では「気に入らないことがあれば怒鳴り、椅子を蹴り上げる」「社長はささいなことで怒る。日々罵声が飛ぶためストレスを感じ、全身蕁麻疹になったことも」「トイレに行っていて、社長の電話に出られなかっただけで『なんで出ないんだ!』と叱責された」といった証言が紹介されている。

 また、前社長時代から20年以上同社に勤める古参社員に対しても、雇用形態を地域限定社員へと変更させてボーナスを減らしたり、海外拠点に赴任していた社員に対して「子会社の現地法人に就職するか、辞めるか。帰国しても本社に部署はない」と退職に追い込んだりするなどの被害が報告されている。

 このうち、いくつかの事案では、労働委員会が不当労働行為救済申立て事件として調査を開始している。

 この問題について週刊文春が千里氏に直接取材した際、千里氏は堂々とパワハラ加害を認めており、「業績が下がってきたので、ピリッとさせるため、部長や取締役レベルの方には厳しく言いました。行動変容を期待して、自分は語気を荒らげたり、そういう手法は使います」「基本的に(パワハラを)やめるつもりはありません。自分はそこそこ頭が回るので、何も言わずに首を切ることができます。それも、愛情をもって接した上でやっている」と断言していた。

タニタへの事実確認の結果は

 本件についてタニタ側に事実確認したところ、弟・昭吾氏の退職後の事業に対する圧力疑惑については「出版社に対して、当社が関与していると読者の方から誤認されることがないように当社からお願いをしたもの」との回答がなされた。

 他にも、富士氏が在籍時に「千里氏の同意のもと進めていた」としている事業の助成金問題については「富士氏から谷田千里および当社に対する事前の適切な説明がなかったことは当の富士氏自身も認めている」「助成金の受給は教育訓練実施後のタイミングであり、計画変更や書類の差し替えで対応することは困難。当社グループにおいて、一方的に富士氏を解任することで、本助成金に関する計画変更をできないようにした事実はない」と真っ向から対立する見解が返ってきた。

 またパワハラ疑惑についても、「外部の社労士事務所が相談窓口として機能しており、通報者の不利益取扱いを禁止するとともに、通報者の個人情報の保護が図られるような仕組みを採り、社員が『声を上げられない』ということがないよう十分な配慮をしている」と回答。

 「被害報告は、相談窓口から当社担当部署であるタニタ総合研究所を経由して経営陣に報告されており、全ての報告は谷田千里を含む経営陣に適切に届いていると認識している」「週刊文春報道を受け、既に当社を退職され、当社経営の管理下にいない元社員の方にもハラスメントに関する情報提供を呼びかけ、広く情報を収集している。谷田千里が現在進行形でパワハラを行っている認識はない」と事実を否定した。

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