新時代セールスの教科書

SmartHRの営業社員はなぜ成果を出し続けられるのか? トップ営業に頼らない組織運営の裏側先駆者たちの「セールスイネーブルメント」(3/3 ページ)

» 2022年06月07日 08時30分 公開
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営業のフラストレーション減少と目標の達成

──社内の営業からはどのような声がありますか?

 以前は、組織が拡大していくつかのチームに分かれた際に「そのナレッジは知らなかった」「チーム全体で共有してくださいよ」という声が各方面から上がっていました。

 今はナレッジ共有に対するフラストレーションは、少なくなったように思います。アンケートでも「いつもありがたいと思っています。もうこの仕組みがなければ進みません」と書いてくれているのを見たことがあります。常にセールスの6割がナレッジ共有ツールにログインしている。そういった光景を見ると、少しでも営業に貢献できているなと思いますね。

 こちら側がナレッジ作りのために「ヒアリングの時間をください」「こういうことをやってください」とお願いしても、誰も嫌な顔一つせず受け入れてくださるんです。仕組みを作っている側としても、営業のコアタイムにやらないように、時間を奪いすぎないようにといったことは意識しています。

──実際、セールスイネーブルメントを実施してみて効果はどうでしょうか?

 正直、セールスイネーブルメントだけでなくプロダクト改善や採用、マーケティングなど全社での取り組みがあってこその結果だと思います。ただ、19年から現在までT2D3を順調に達成できています。

 19年に26人だったセールスも1年後に43人になり、20年9月に83人、現在は103人になりました。毎年倍になるような組織成長をしてきましたが、立ち上がり基準として置いている入社半年の目標受注金額に対する達成度も19年以降継続して70%台をキープできています。セールスイネーブルメントの取り組みを実施し、スキルが一定化されたからこその成果だと思っています。

成果主義だからこそ、一定の成果が出る仕組み作りを

──約3年ほどかけてセールスイネーブルメントに取り組んできて、今はこの取り組みをどう定義しているのでしょうか?

 最近、メンバーと話をしていてしっくりきたことがあります。セールスイネーブルメントは「トップセールスを作るもの」とよくいわれます。しかし、できるだけ全員が一定の成果を上げられるようにすることで「営業という仕事を通して、ハッピーになる人を増やす」ことも重要なのではないか、という発言がありました。

 やはり営業という職種柄、成果が上がらないとつまらないと感じたり、評価が上がらないと辞めたくなったりもすると思います。それゆえに、熱意を持って入社したとしても、売れないことで、やる気を失ってしまう人もいるかもしれません。

 セールスイネーブルメントは、そのような状況を可能な限り減らし、営業全体を一定のレベルまで引き上げるための「土台や仕組み」なのではないかと思います。

──では、最後に今後の展望についてお聞かせください。

 受注につなげるためには、個々のお客さまの要望に合った適切なアクションを取る必要があります。そのためには、相手の意図を汲んだコミュニケーションや営業スキルが不可欠です。

 これまでの取り組みを通して、その辺りのナレッジは社内で共有・活用できていると実感しています。今後は、それぞれの営業の適性を踏まえながら、スキルの生かし方を模索し、より成果が出せる仕組み作りの確立に注力していきたいと思います。

セールススキル定義とキャッチアップの仕組みを構築することで、全員が成果を出せる営業組織を目指す(画像:SmartHR提供)

著者:大矢剛大(ブレーンバディ代表取締役)

大学卒業後、新卒で入社した株式会社マイナビを経て、株式会社リクルートキャリア(現:株式会社リクルート)に転職。リクルートキャリアでは、最優秀新人賞、MVP、アワードなど複数受賞。また、自組織から表彰者も多数輩出させた。その後、HRスタートアップに事業責任者として創業から携わり、事業立ち上げや営業組織の構築を行う。2020年に独立し、複数企業の営業コンサルティングを行う。

2021年4月に本格的にセールス・イネーブルメント事業を行うべく株式会社ブレーンバディを設立。代表取締役に就任。

Twitter:@YoshihiroOya

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