STEPNはのビジネスモデルは既存・新規プレイヤーが靴を買い続けることを前提としているため(運営は手数料収入やコラボ収入も想定しているが、ここでは省略する)、「ポンジ・スキームではないか」と指摘されることもある。この点で中国の刑法176条の「違法に大衆の資産を集めた罪」に抵触する可能性もある(中国居住者が仮想通貨取引所でゲーム内トークンのGMTを購入した時点で、同罪に引っ掛かると指摘する法律関係者もいる)。
STEPNが合法だとしても、同ゲームにヒントを得た犯罪につながる恐れもある。20年8月には、NFTゲーム「クリプトキティ」から着想した仮想猫育成・取引アプリ「喵喵」(猫の鳴き声「にゃーにゃ―」という意味)が投資詐欺の疑いで接続不能になった。この件については、筆者の過去の記事で紹介しているので、参照してほしい。
中国本土のユーザーのGPSデータを海外に持ち出せば、21年に施行された「データ安全法」「個人情報保護法」に違反するリスクもある。
筆者は3月末に中国のテクノロジー界隈でSTEPNが話題になり始めたことに気付き、情報収集のためにゲームを始めた。中国でサービスを提供していないのは知っていたが、「もうかる」と思えばあらゆる手段を駆使して入ってくるのが中国人であり、そうなると中国当局の処分や規制を受けるのがこれまでの定石だからだ。
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