SDGsとDXの関係は？ 企業が取り組む知られざるメリットと実現のために求められる意外なスキル【後編】：SDGsとリスキリングには、意外な関係があった（3/3 ページ）

[酒井麻里子，ITmedia]

SDGsは、「信頼」獲得のためにも重要な要素

　ここまで、DX、SDGs、リベラルアーツ、リスキリングと、近年ビジネスシーンでよく耳にするキーワードのつながりを柿内氏に聞いたが、実は、企業の評価指標として注目される「ESG」^※もまた、これらと深い関連性を持っているという。

※環境（Environment）、社会（Social）、ガバナンス（Governance）を組み合わせた言葉で、企業が社会的な目標達成のため、どの程度取り組んでいるか、貢献しているかを評価する観点

　「ESGはそれぞれ、環境、社会、ガバナンスの頭文字を取ったものですが、この『ガバナンス』には、働き方などの要素も含まれています。最初に、SDGsもDXも経済と社会、環境の豊かさを目指すものだとお伝えしましたが、実はESGも見ているものは同じなのです。つまり、『経済ばかりを重視するのではなく、環境と社会をよくするためにできることも考えよう』というのが近年の風潮であり、それがSDGsやDXやESGという言葉で表現されているということです」（柿内氏）

　「ただのバズワード」のように受け取られてしまう可能性もあるこれらのキーワードは切り離して考えられるものではなく、また一過性のものではない、これからの企業にとって意識せざるを得ないものということだ。そして、企業がSDGsに取り組むことは、「信頼」の獲得のためにも重要だという。

画像はイメージ、出所：ゲッティイメージズ

　「今は情報があふれているので、企業のよい部分も悪い部分もすぐに顧客の耳に入ります。例えば、よいサービスを提供しているけれど労働環境が悪い企業があったとして、その事実が伝わった途端に顧客は離れていく可能性があります。SDGsに真摯に取り組んでいる姿勢を見せることは、信頼を獲得する上でとても重要な時代になりました。また、取引先からの評価や採用面でも、信頼される企業であり続けることは大切です。その客観的な指標として、今後ますますSDGsが大きな役割を担っていくことは間違いないのではないでしょうか」（柿内氏）