企業がSDGsやDXに取り組む上で、知っておくべきことは何だろう。前編では、パーソルイノベーションの柿内秀賢氏から、SDGsとDXの関係性や、リベラルアーツを学ぶことがSDGsの理解を深めることにつながるという話を聞いた。では、その先で何に取り組めばよいのだろうか? 柿内氏は、そのキーワードとして「リスキリング」を挙げている。
リスキリングとは、今持っている専門性に、新しいスキルを足すことで変化に適応することを意味する言葉。これまで培ってきたものとは異なる分野のスキルを新たに身に付ける点が、一般的なスキルアップやキャリアアップとの違いだ。企業がDX人材を確保するための施策として近年注目されているが、SDGsとも深い関連性があるという。
「例えば自動車メーカーでは、機械系の設計者が電気系・ソフトウェア系のエンジニアの技術を習得するためリスキリングに取り組むケースが増えています。脱炭素化の動きによってガソリン車からEVへのシフトが進んだことでリスキリングを余儀なくされたためですが、このようにSDGsを実現する上で結果的に新たなスキルの獲得が必要となる人が生まれるケースは少なくありません。そのような意味でも、リスキリングとSDGsは切り離すことのできない関係にあります」(柿内氏)
また、前編で紹介した「ゑびや大食堂」の取り組みでは、飲食店スタッフがデータ分析のスキルを身に付けることで、より高い成果を出せる人材へと変化し、フードロス削減など課題解決にもつながっている。これもリスキリングがよい効果を生み出した事例といえる。
前編では、SDGsの課題を理解する上でリベラルアーツが重要になることを紹介した。そして、SDGsを推進した結果、リスキリングが必要になる社員が出てくるケースがあることは分かったが、これらは具体的にどうつながっていくのだろうか。
「さまざまな企業の担当者と話していると、『自社でSDGsの取り組みをしてはいるけれど、実際これがどんなことにつながっているのか――実はよく分かってない社員が多い。社内への周知の方法で悩んでいる』という声をよく耳にします。そのようなとき、例えば経営層の人たちがリベラルアーツを通してSDGsの意義を理解できていると、社員へも説明しやすくなり、結果的にリスキリングが必要となった人たちからの理解も得やすくなると思います」(柿内氏)
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