プライム上場の急成長スタートアップはどんなSaaSを使ってる?:Gunosy編あの企業が使うバックオフィスSaaS(1/3 ページ)

» 2022年06月14日 07時00分 公開
[冨永裕子ITmedia]

 バックオフィス業務へのSaaSの導入が活発化している。外資系ベンダーだけでなく、国産ベンダーも市場に参入し、ユーザーは多くの選択肢の中から最適なものを選ぶ環境が整ってきた。こうしたSaaSを積極的に活用しているのは、しがらみの少ないスタートアップ企業だろう。今回は「グノシー」や「ニュースパス」などのニュースアプリの提供で知られるGunosyに聞いた。

メディアだけではないGunosyの3つの事業

 2012年12月創業のGunosy。15年4月に東証マザーズに上場し、17年12月には東証一部に市場変更と、目覚ましい成長を遂げてきた。22年4月からの東証の市場区分見直しにあたっては、プライム市場に移行し、グローバル投資家との建設的な対話を基本とする企業としての姿勢を強く打ち出している。

 その事業ポートフォリオは「メディア事業」「ゲームエイトグループ」「投資事業」の3つ。21年7月に発表した中期経営計画から、「社会のインフラになるような、新しいニュースメディアに育てる」をビジョンに掲げ、これまで以上のビジネス成長を目指し、事業を展開している。

Gunosyの3つの事業

 これまではエンタメ色の強いイメージもあったグノシーだが、20年4月頃よりプロダクトの方針を大きく転換。21年6月にアプリをリニューアルリリース、同年8月には新たな行動指針「Gunosy Pride」を公表するなど、サービスとその提供を支える会社組織の抜本的な改革に着手している。

 その背景には、急成長を志向するがあまり、短期の数字を重視しすぎた反省があった。本来のあるべき姿は、ユーザーに価値のある情報を届けることで、結果的に高い目標を達成するものと再発見したGunosy。創業時の原点に立ち、ユーザーが知っておくべき情報と、知りたい情報のどちらもバランス良く入手できるようなサービスの提供で、ユーザーの人生の質の向上を実現しようと方針を改めた。

 現在の社員数はGunosy単体で約250名。バックオフィス部門に所属する社員は、内30名程度だ。組織は大きく、経営企画、広報、IRの機能を集めた「CEO室」と、経営管理、人事(採用と労務)、法務、総務、ITの機能を集めた「コーポレート本部」の2つに分かれる。

 少数精鋭で組織を運営しているため、業務に必要なSaaSの調達方針は、各部門が自分たちの業務遂行に最適と考える製品を選定するというものだ。特に重視しているのが、業務の効率化である。というのも、今後の事業成長で社員数がさらに増える可能性があるためだ。

 さらに、この先、4つ目、5つ目の新規事業が立ち上がる可能性もある。デジタル化を進めなければ、フロントオフィスの業務量の増大にバックオフィスが追随できない。もちろん人員増も対応手段の1つだが、バックオフィス業務の中には個人の成長とは関係の薄い単純作業も多い。最近は、バックオフィス業務の効率化に役立つSaaSの選択肢も増えてきた。ならば、使わない手はない。現場目線で必要なものを選定し、「経理財務」「管理会計」「人事総務」「法務」と20年頃から本格的な導入を進め、現在の仕組みができあがった。

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