プライム上場の急成長スタートアップはどんなSaaSを使ってる?:Gunosy編あの企業が使うバックオフィスSaaS(3/3 ページ)

» 2022年06月14日 07時00分 公開
[冨永裕子ITmedia]
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部門最適から全社最適へ、岐路に立つ調達方針

 各部門が調達をリードする方針で業務環境を整えてきたが、次のステップとしてGunosyが視野に入れるのは、ツールの横連携である。部門最適で進めてきた業務効率に対し、次は横串でのデータ連携や部門間連携が課題と捉え、これからは全体最適の視点からバックオフィス業務のDXを進めていかなくてはならない。そう考えて、22年4月にGunosyに入社したのが澁川豊洋氏である。これまでのSaaSの選定はあくまでも現場主導。IT部門の役割は、セキュリティに問題がないかの確認が中心であったが、これからは関与の度合いも変わる。

Gunosy執行役員 澁川豊洋氏

 ユーザーからもデータ連携への要望は多い。実際、これだけツールが増え、それぞれに専用のIDとパスワードが必要ともなれば、日々の利用も面倒だ。まず、SaaSへのログインに関して、シングルサインオン連携を推進している。また、業務プロセスの自動化に関して、freeeとSlack連携でプロセスの最適化を図っている。今後のSaaS管理に関しては、プロビジョニング機能やSaas間連携を推進中だ。

 澁川氏は「リスクを取るべきところと避けるべきところを判断した上で、仕組み全体をより良いものにする。そして、各部門にはオーナーシップを持ってもらう」、そんな仕組み作りを計画していると話す。さらにその先は、社内で培ったバックオフィスのナレッジを社外にも提供する展望も見据える。

 何より、Gunosyは、現在の仕組みを完成形とは考えていない。「会社の規模や成長で、必要な仕組みは変わってくる」との認識だ。これから新しく導入するツールの選定では、既存製品と連携が容易であることも重要だが、場合によっては現在利用中の製品を別の製品に置き換える可能性も出てくる。特に、データ連携を強化する場合は、マスターデータの持ち方をどうするかを考えることが必要だ。例えば、権限管理を効率的に行う上でもマスターデータ管理は重要になる。また、従業員マスターを持つことで、貯まったデータを分析し、社員個人の成長に有益なアドバイスをする新しい使い方も生まれる。

 バックオフィス業務のDXでは、反復作業を極力減らし、社員にクリエイティブな時間の使い方をしてもらう。それが中長期的なビジネスの成長を促すことになるはずだ。

 当連載では、各社がどんなSaaSをバックオフィスに導入しているのか、その実態を聞く。自社の利用しているSaaSについて話していただける企業があったら、ぜひ編集部まで連絡してほしい。

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