楽天の最大の強さは楽天経済圏だ。そしてその経済圏を支えるエンジンであり、潤滑油でもあるのが、年間5300億円の発行額を誇る楽天ポイントである。しかし、そこに新たな武器が加わる。オンライン電子マネーの「楽天キャッシュ」だ。
楽天Edy楽天キャッシュ事業推進室の鍋山隆人副室長は、「慣れ親しんだ楽天ポイントと同じように使えることを目指している。ただしポイントとキャッシュは訴求する点が異なる。もらってうれしい楽天ポイントと、使ってお得な楽天キャッシュだ」と説明する。
楽天キャッシュ自体は2016年にスタートしたものだが、昨今、その普及に力を注いでいる。楽天キャッシュ普及を担う楽天ペイメントでは、かなり複雑な仕組みを用意してまで、楽天キャッシュを普及させる施策を次々と打ち出してきた。
直近では楽天証券と共同で楽天キャッシュを使った投信積立サービスを始める。これは、楽天カードからいったん楽天キャッシュにチャージし、楽天キャッシュから投信を買い付けることで、0.5%のポイント還元を行うというもの。12月積立分までは追加で0.5%の還元も行い、楽天カードを使った投信積立からの転換を図る(記事参照)。
楽天キャッシュ投信積立をスムーズに行うために、楽天カードから楽天キャッシュへのオートチャージ機能「残高キープチャージ」も提供する。これは設定した残高を楽天キャッシュのバリューが下回ったら、自動的に楽天カードなどからチャージする機能だ。
もう一つ、楽天キャッシュの普及に向けた本気を感じさせるのが、楽天ペイだ。コード決済の1つである楽天ペイは、クレジットカード決済のほか、楽天キャッシュ決済も選択できる。このとき、楽天カードからいったん楽天キャッシュにチャージし、そして楽天キャッシュで決済することで、最大還元率となる1.5%を還元するのだ。
いずれも、楽天カードから直接払えば済むところを、わざわざ間に楽天キャッシュを挟むことを推進している。追加のポイント還元というインセンティブを支払ってまで、これを推し進めるのはなぜか。
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