商談をしていて「今回はうまく説明できている」と感じるときがある。「成約のチャンスだ」と無我夢中で説明する。しかし、そんな時に限って「これで検討してみます」と言って逃げられて、「やはり今回は……」と歯切れの悪い返事が返ってくる。こんなふうに、うまくいった実感はあるのに、全く成約に結びつかないという状況を経験したことはあるだろうか?
一方で、結果を出している営業社員を観察してみると、一方的な説明をしない。顧客とうまくコミュニケーションを取りながら雰囲気よく話を進めている。トップ営業はどのように話を展開させているのか? 経験が浅い営業社員でも真似できる方法について紹介する。
多くの営業社員が「長く説明しないと売れない」「トークを練って商品の詳細を事細かに伝えた方がいい」と思い込んでいる。しかし、それは間違いであることが多い。説明が長くなればなるほど顧客の購買意欲は下がり、契約は取れなくなる。
なぜそう断言できるのか。筆者がハウスメーカーの新人営業だったころの話を紹介したい。入社してから、鳴かず飛ばずの期間が長いこと続いていた。かろうじてクビにはならなかったものの、営業成績は常に最低ランク。その1番の理由は「しゃべり過ぎた」ということにある。
当時の筆者は「うまく説明すれば結果が出る」と思い込んでいた。顧客に対して分かりやすい商品説明ができるように毎日トークを練ったり、ロープレをしたりした。本来、口下手ではあったが、毎日のように練習すればトーク自体はうまくなる。しかし、トークの上達度合いと顧客の反応は反比例した。それは顧客との商談時間に明確に表れた。
ハウスメーカーの営業はモデルハウスへの来店客に対し、住宅購入の提案していくスタイル。新人営業の商談時間は20分程度になる。トップ営業クラスでは1〜2時間と長時間になる。筆者も入社当時は20分程度だった。トークを練習すれば、顧客との距離が近くなり商談時間も延びるだろうと思っていたが、予想に反する結果となった。商談時間がどんどん短くなっていったのだ。10分で顧客に帰られてしまうことも多くなった。
焦った筆者は自分のトークに問題があると思い込んだ。これが悪循環を招くことになる。最終的には5分程度で「もう説明は結構ですから!」と言って、帰られてしまうほどだった。
さすがにここまで悪化すれば「何か間違っている」と気付く。トップ営業の商談を見てみると、顧客と話している時間は長いものの、自身が話している時間は顧客の4分の1以下だった。長々と商品の魅力を語ることはなく、顧客の不満や悩みなどをよく聞いていたのだ。
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