中国都市部のロックダウン、台湾TSMCへの依存度の高さ──昨今、アップルをめぐるリスクは数多く議論されている。
一方で、主要製品であるiPhoneの売り上げは、スマートフォン市場が成熟する中でも好調を維持してきた。直近では中国のゼロコロナ政策によるロックダウンで製品の生産が停滞する問題が起きたが、その直前まで、iPhone 13/13 Proシリーズは記録的な売り上げを続け、いまだその需要に衰えは感じられない。
その背景にはライバル不在の事情もある。
数年前ならば、半導体技術と信号処理技術を組み合わせ、端末の魅力を高めるiPhoneと同様の製品開発をしていた中国ファーウェイがライバルとして台頭し始めていたが、米政府による制裁の影響を受け、中国国外でのスマートフォン事業の大半を失った。
世界市場でのトップシェアは、ハイエンドから普及機まで幅広い機種を手掛け、また中国への生産依存がほとんどないサムスン(韓国)が獲得し、さらにファーウェイの後釜の中国企業としてはシャオミ、オッポなどが食い込んでいる。
しかしこれらの企業は、製品開発のアプローチという意味でファーウェイに代わるだけの存在感を、出せているかといえば疑問だ。特にiPhoneが得意な価格帯で、競合になる製品は少ない。アップルも生産拠点の多様化を進めており、直近の業績に目をとらわれずに全体を見るならば、引き続きiPhoneはアップルの強固な事業基盤であり続けるだろう。
では、アップルは今後の成長軸をどこに見据えているのだろうか?
今月開催したアップルの開発者向けイベント「WWDC 2022」は、オンラインを中心としながらも、抽選に当選した1000人の開発者を招いた本社内でのオンサイトイベントも同時に開催。筆者はプレスとして参加したが、取材する中で気づいたことがある。
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