【独自】くら寿司元店長が語る労働環境 「休みは取れず、上司は壁をたたきながら……」(3/7 ページ)

» 2022年06月22日 06時00分 公開
[新田龍ITmedia]

──“体育会系”というキーワードが何度も出てきますが、そのような風土によって大変だと感じられたことはありましたか?

 “体育会系”が悪口のようになってしまうのは不本意ですが、長時間労働が慢性化している中で、指導や注意の際に上司や店舗のリーダーから怒鳴られたり、作業台や壁をたたきながら高圧的な言動をされたりするのが日常茶飯事で辛かったですね。

 あと3カ月に1度くらい、自分の管理する店舗に、SVとかエリアマネジャー(AMG)など幹部が巡回で来るんですが、「ああしろ」「こうしろ」と怒鳴られながら仕事をするのも大変でした。人を大切にしない会社は成長できないと思います。

 「社員と従業員(アルバイト・パート)が交際してはいけない」という社内ルールがあって、一緒に食事に行くことさえ禁止されているんですが、実際にはSV・AMG・マネジャー(MG)などの幹部は従業員と交際していたり、結婚していたりするんです。でも平社員の交際が発覚すると事務所に呼び出されて怒られる。理不尽でしたね。

 休みも少なくて、社員は冠婚葬祭以外は基本的に休みを取れないんです。葬式休みの際は死亡証明書の提出が必須。連休なんて到底無理です。そして休みの日でも携帯が鳴りやまず、全然休んだ気になりません。クレームが入って対応できる者がいなければ休み返上で出勤。学生バイトの無断欠勤などがあるときも出勤になってしまいます。

──大変な労働環境だったのですね。一方で、仕事のやりがいや、仕事を通して成長を感じた点があれば教えてください。

 1店舗あたり、アルバイトやパートも含めると100人近い人が勤務しています。1人1人の要望に応じてシフトを作成したり、若い方から年配の方まで幅広く多くの人とコミュニケーションを取れるようになり、運営や何かの目標に達成した時の達成感は大きいですね。

 何千人もの、さまざまな世代の方とかかわってきたので、コミュニケーション能力が上がり、人見知りはなくなりました。店長になってからは従業員さんや社員を教育・指導する立場になり、人の指導のやり方や物事の伝え方を学ぶこともできました。

 アルバイト経験がないと入社後覚えることがとても多く、苦労する。店長の力で店をつくって行かねばならず、難しい人や合わない人がいても一緒に働いていくしかありません。そういったところで人間的に強くなれて、成長につながるかもしれないですね。

くら寿司からは回答なし

 インタビューの内容について、くら寿司に事実確認を行ったが期限の6月20日までに回答はなかった。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.