くら寿司は全国47都道府県に567店(2021年10月末)の店舗を持ち、売上高は1475億円。スシロー(FOOD&LIFE COMPANIES)に次いで業界第2位だ。
1977年創業と歴史も長く、現在の回転すし業態のスタンダードともいえる仕組みを創ってきた企業でもある。
例えば、座席配置は元来、すし職人を中心にした円形のカウンター席が定番だった。くら寿司はすしレーンを直線型へ変更し、グループ客が向かい合って座れるボックス席を設けた「E型レーン」と呼ばれる形式を導入。この工夫によって家族連れやグループ客が入りやすくなり、現在では回転すし店のスタンダードとなっている。
同様に、今では当たり前となったタッチパネルでの注文方式も、2002年に同社が初めて導入したものだ。直近では受付から皿の勘定、会計まで全てを、店員を介さずに済ませられる「スマートレストラン」の仕組みの導入を進め、21年12月に全店舗導入完了している。
このように、くら寿司は業界への貢献度も高い。また、広告を多く出稿し、ポジティブイメージを持つ顧客が多かったはずだ。
しかし、そのような企業であっても、不祥事にまつわる報道一つでそのイメージは一瞬で瓦解し、不名誉な評判と記憶を残すことになりかねない。
本稿をお読みの皆さまも、単なる対岸の炎上事案として観察対象にするだけではなく、この機に労務トラブルを防ぐ対策を徹底してほしい。企業価値を守り、さらに向上させるチャンスとすべく、確実に準備しておくことをおすすめしたい。
働き方改革総合研究所株式会社 代表取締役/ブラック企業アナリスト
早稲田大学卒業後、複数の上場企業で事業企画、営業管理職、コンサルタント、人事採用担当職などを歴任。2007年、働き方改革総合研究所株式会社設立。労働環境改善による企業価値向上のコンサルティングと、ブラック企業/ブラック社員にまつわるトラブル解決サポート、レピュテーション改善支援を手掛ける。またTV、新聞など各種メディアでもコメント。
著書に「ワタミの失敗〜『善意の会社』がブラック企業と呼ばれた構造」(KADOKAWA)、「問題社員の正しい辞めさせ方」(リチェンジ)他多数。最新刊「クラウゼヴィッツの『戦争論』に学ぶビジネスの戦略」(青春出版社)
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