また、成伯さんによると、配膳ロボットに対する無意識のハードルの低さも影響しているという。「例えばお店が混んでいるとき、店員に声をかけたのになかなか来てくれなかったり、対応が後回しになってムッとすることがあると思います。これは、対人コミュニケーションだから、という無意識の期待があるからなのです」(成伯さん)
しかしロボットならば、必要以上のコミュニケーションや気遣いを、最初からいい意味で期待しない。実際、導入企業や店舗でロボットの接客についてアンケートを実施したところ、減点評価が少なく、加点評価が多い、ネガティブな意見がでづらいということが分かったという。
SNSでは「ロボットが人間の仕事を奪うのではないか」といった声が見られる。成伯さんは「奪うのではなく、人として大切な部分をより生かすためにロボットがある」と話す。「労働人口の減少がこのまま進めば、あらゆる業界で人手不足が慢性化します。単純作業をロボットに任せられれば、そこに割いていた時間や人員をホスピタリティの高い業務に集中させることができます」(成伯さん)
必要なのは「ロボットでもできること」と「人にしかできないこと」のすみ分けだ。「人をロボットに置き換える」のではなく、マンパワーだけでは一気に対応できないときのサポートとして、ロボットとして使ってほしいという。
「かつて、手洗いが当たり前だったキッチンに食洗機を導入したことで、キッチンスタッフの負担は減りました。ホールスタッフにとっての配膳ロボットが、ゆくゆくはそういう存在になっていけばいいなと思っています」(成伯さん)
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