家を売り出す前に買い手が見える! 「ウルカモ」が伸びている背景登録者は2000人に迫る(2/5 ページ)

» 2022年06月23日 08時50分 公開
[小林香織ITmedia]

会員数はまもなく2000人。平均22件のリアクション

 11年に創業したツクルバは、中古・リノベーション住宅の流通プラットフォーム「cowcamo(カウカモ)」やコワーキングスペース「co-ba(コーバ)」などを展開している。そんななか、「売主獲得の強化」を掲げて誕生したのが、売り出し前の中古不動産を扱うソーシャルマーケット「ウルカモ」だ。

 同サービスは売主ファーストの設計で、利用者が“手軽に楽しく”使えるよう工夫されている。まず、推定相場額の査定も含め、登録は100%オンラインで完結する。査定はエステートテクノロジーズ社が提供するAI査定とツクルバの過去データをもとにした内装査定を組み合わせ、推定相場額を算出できるという。

 「このAI査定は、誤差の中央値を表すMERが2.93と業界最高水準の正確性です。査定可能な物件数も約15万件と多く、一都三県を網羅しています。このAI査定で物件の坪単価を算出したあと、リノベーションした物件の場合は、写真をもとに内装査定をします。坪単価とリノベーションの価値を掛け合わせて、推定相場額が算出されます」(黒田氏)

ウルカモで現状一番人気の部屋は、上野毛駅を最寄りとする2LDKの物件(ウルカモのサービスサイトより。22年6月下旬現在)

 写真による内装査定はツクルバの強みだと黒田氏は言う。該当の物件が売りに出された場合に、購入意欲が高いであろうターゲットに沿った内装であるかが査定のポイント。ターゲットにとって価値のある内装なら推定相場額が上がるそうだ。

 掲載後の体験設計もウルカモならでは。売主は物件情報や写真に加え、自身の投稿に売却意向やコメントを添えることができる。対して、買主は物件が気に入れば「スキ」を、物件が売り出されたら購入を検討したいと思えば、「買うかも」にリアクションをする。

 「これは、メルカリやペアーズといったマッチングの世界観を参考にしました。自分の投稿にリアクションが付くとワクワクしますよね。これまでの不動産サービスにはなかった体験かなと思います」(黒田氏)

買主から直接のリアクションを受け取れるので、売主にとって「この価格で実際に売れそうか」の判断基準になるという(ウルカモのサービスサイトより)

 実際に物件が売り出されると、「スキ」を押した買主には「売り出し通知」が、「買うかも」を押した買主には、優先的に内見できる「内見ファストパス」が送付される仕組みだ。

 現状は、一都三県の中古マンションのみが掲載されており、登録会員数は2000人に迫る勢い。1物件当たり平均22件のリアクションが付き、「買うかも」に限ると平均2.8件となる。

 「売却経験者への調査では、3組ほどの内見で約半数が売却できているという結果があります。この数字を踏まえると、ウルカモで集まったリアクションだけで売却を完遂できるかもしれないという期待感がありますね」(黒田氏)

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