家を売り出す前に買い手が見える! 「ウルカモ」が伸びている背景登録者は2000人に迫る(5/5 ページ)

» 2022年06月23日 08時50分 公開
[小林香織ITmedia]
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売り主、買い主、事業者の共創関係をつくりたい

 順調な滑り出しを見せているウルカモだが、スピード感のあるリリースだったこともあり、改善の余地も多くありそうだ。

 売主にフォーカスしたサービスであるため、買主視点で見ると、やや粗さが見える。掲載物件の写真のクオリティーがバラバラだったり、間取りなどの必要な情報がなかったりする。さらに、購入意欲が高い人ほど、「売り出されるかどうかか分からない」点をもどかしく感じるかもしれない。

 こういった課題については、双方の利便性を高めるべくアップデートに取り組んでいるとのこと。買主のリクエストに応じて、売主が随時情報を追加できるようにしたり、プロのカメラマンが内装を撮影するトライアルをしたりしているという。

 今後の展望を尋ねると、「売主、買主、ウルカモがトライアングルになるような体験をつくりたい」と黒田氏。

 「従来の不動産サービスは、売主、買主、事業者が横並びになる流通構造で、売主と買主が把握できないことも多い。それをトライアングルにすることによって、3者それぞれが情報のやり取りができるようになります。こういった共創的な不動産取り引きの仕組みをつくり、体験価値をアップデートしていきたい。ライフスタイルを意識して住み替えが起こる世界を実現したいですね」(黒田氏)

 山田氏は、「不動産業界をユーザーの変化に対応できるように変えていきたい」と意気込む。

 「これまでの不動産売買は、購入も売却も人生で1度きりで、消費者は知識がないのが普通でした。それが、現代ではネットによる口コミが広がり、物件の買い替えを経験する人も増えている。一般消費者とプロの事業者の知識差が埋まり、双方のあり方が変わっていくはずですが、まだ事業者側は変わらないまま。そこで、ユーザーの変化に寄り添うサービスをつくっていけるかが私たちの挑戦だなと。まだ誰も知らない、あるべきサービスを開発し、業界全体の変革を牽引(けんいん)していきたいと考えています」(山田氏)

写真提供:ツクルバ

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