6月21日の外国為替市場で円が対ドルで下落。1ドル136円台に突入し、1998年10月以来24年ぶりの円安加速が進んでいる。14〜15日の米FRBが決定したFOMCでの0.75%利上げに対し、日銀は17日の金融政策決定会合で大規模緩和維持を表明した。長期金利プラスマイナス0.25%程度の変動許容幅を死守する方針を貫きとおす。
米FRBに続き、スイス、英国が相次いで利上げを決定した。日銀はあくまで長期金利をプラスマイナス0.25%の変動幅を死守することで、0%という超低金利を維持する考えだ。日銀が利回りを指定(指値)して国債を無制限に買い支える(指値オペ)ことで、長期金利の上昇を避けたい意向だ。
が、ここに来て日銀の国債買いに対抗する日本国債売り(ショート)を仕掛ける投資家の姿が見え隠れし出した。彼らは“ウィドウ・メーカー”(男性の命を奪い寡婦(widow)を作るほど危険なもの)と呼ばれている。日銀VS“ウィドウ・メーカー”という構図だ。
プロ同士が勝手にやってくれ、と傍観するだけでは済まない。日銀は無条件に長期金利0.25%までは国債を買い続けて、それ以上の長期金利上昇を止めることで円安を防いでいる。しかし“ウィドウ・メーカー”側が取る日本国債売りに拍車がかかると、さらなる円安が加速する恐れが出る。
1月につけていた1ドル113円台から一気の円安加速だが、長年にわたり円安は海外で活動して稼ぐ企業にとって良い円安だと見られていた。企業は円安という武器で世界のライバル企業に対して円安という競争力で戦え、投資の利益は円に換算する際に利益が出る。
ところが、個人消費の側面からするとモノの値段が上がり悪い円安となる。モノの価格上昇に伴い賃金の上昇があればいいのだが、過去数十年にわたり先進国の賃金上昇傾向を横目に日本の賃金はほぼ横ばいという現実がある。
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