一方で、180度逆の意見もある。ネットやSNSでは、KDDIの通信障害中会見に対して、「早ければ早いに越したことはない」「現時点で分かっていることを説明するのは当然」など好意的な意見が多い。それどころか、専門的な技術を分かりやすく解説する高橋社長の姿に、「トップが迅速に対応して、しかも有能なことが分かって、KDDIの信頼感が爆上がりしている」なんて称賛の声が寄せられているくらいだ。
かたや「あんな会見ならばやらないほうがいい」と冷ややかな反応で、かたや「KDDI、見直したぜ」と大絶賛。果たしてどちらの言い分が正しいのだろうか。
「そんなもん、SNSの反応を見て分かるように、1秒でも早く会見を催すのが正解に決まってんだろ」という声が聞こえてきそうだが、厳密に言えば、実はどちらの見解も間違いではない。
なぜかというと、これらの2つの見解は、それぞれ自分が属している組織にどんなメリットがあるのか、という視点に基づいているからだ。つまり、自分の「立場」に基づいて「正しい」ことを主張されているだけなのだ。
まず、「会見やらなくてよかったんじゃね派」の人たちを見てみると、IT情報を扱う専門メディアやITジャーナリスト、さらには実際に通信業界で働いている方が圧倒的に多い。言うなれば、「通信ムラ」で生きる人々だ。
このような「中の人」たちは、通信業界内のメリットになる情報をやり取りするという基本的なスタンスがある。特に業界メディアの場合、読者の多くは通信業界や関連する職種の人々なので、彼らが興味のあることを、知りたいと願う情報を正確かつ詳細に伝えることにこそ存在意義がある。
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