美顔アプリで天下取ったMeitu、仮想通貨暴落で60億円の赤字浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(2/5 ページ)

» 2022年07月07日 07時00分 公開
[浦上早苗ITmedia]

20年春にビットコインとイーサリアムを130億円分購入

 Meituは21年3〜4月、ビットコイン940.89BTCとイーサリアム3万1000ETHをそれぞれ4950万ドル(約67億3200万円)と5050万ドル(約68億6800万円)で購入したと発表した。

 同社は仮想通貨購入の理由を、資産形成に加え「ブロックチェーン業界に参入するための準備」と説明。中国では仮想通貨の取引が禁止されているが、Meituは登記上の本社をケイマン諸島に置いているからか(実質的な本社は中国本土にある)、現在まで中国当局から特段の反応はない。

 蔡文勝CEOは当時、4000年前に最初に蟹を食べた人物を引用して、「後に続く企業が現れる」と強調した。

 確かにMeituの仮想通貨購入は「中国に(実質的な)本社を置く企業として初めて」「上場企業がイーサリアムを購入するのは初めて」と、2つの「初」があったが、「最初に蟹を食べた人」に自身をなぞらえるのは大げさだろう。

 なぜならその年の2月に米電気自動車のテスラがビットコインを15億ドル(約200億円)分購入し、相場上昇のペースを加速させていたからだ。Meituは「流れに乗って続いた」と表現する方がしっくりくる。

 ともあれ、当時は強気相場真っ只中であり、仮想通貨購入発表直後にMeituの株価は上昇した。21年11月にビットコインは過去最高値の6.9万ドル(約940万円)、イーサリアムは4800ドル(約65万円)をつけた。

 だが、仮想通貨は昨年末から下落トレンドに入り、特に今年5月末から下げが加速した。

 Meituはやむなく保有する仮想通貨の価値目減り分に相当する計4560万ドル(約62億円)の減損処理を行い、7月3日に発表した。

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