ドイツの高級自動車メーカー、アウディジャパンがSDGsをテーマにした「Audi Sustainable Future Tour」を岡山県真庭市で実施した。EVを推進するアウディは欧州でバイオマスや太陽光発電による再生エネルギーなど、循環型社会の構築で先進的な取り組みをしている。
2020年に「ゼロカーボンシティ」を宣言した真庭市を、アウディの電気自動車(BEV)の「e-tron」で巡り、脱二酸化炭素の重要性を、自動車のみならず業界を超えて考えようというツアーだった。
このままガソリン車が永遠に続くことはあり得ない。問題は次世代パワートレインが何になるのかだ。ハイブリッド(HV)で先行してきた日本だが、後続距離、充電インフラ、値段が高いなどのいくつかの要因から次世代の主流がBEVだと確定させる点には慎重だ。それはトヨタ自動車が次世代パワートレインについて全方位戦略をとっていることからも分かる。
一方、アウディは21年8月に「Vorsprung 2030」というブランド戦略を発表した。Vorsprungとは「先進、リード」など「一歩先に出る」といった意味があり、1970年代からアウディが使ってきたフレーズの1つでもある。
2026年以降に全世界で発表するモデルは全て電気自動車で、33年を最終期限として内燃エンジン(ICE)の生産は段階的に廃止する。そして、将来にわたって存続可能な企業であり続けることを宣言した。
21年12月に発表したロードマップによると、目標実現のために22〜26年の5年間で、研究開発と設備などに約370億ユーロ(約5兆円)を支出。電動化とハイブリッド化向けにも、そのほぼ半分の約180億ユーロ(約2兆4000億円)を費やすとしている。
アウディの親会社で、ポルシェ、ベントレー、ランボルギーニなどを擁するフォルクスワーゲングループも、50年までに完全なカーボンニュートラル企業になることを目指す。アウディ ジャパン ブランド ディレクターのマティアス・シェーパース氏は話す。
「アウディは、ル・マン24時間レースでディーゼル車を、ラリーレースで4WDを導入して勝つなど、固定概念を覆してきた。日本でも、『電気自動車と脱二酸化炭素は合わない』『BEVはソリューションではない』という概念を壊して、新たな考え方を提示したい」
加えて欧州の現状を説明する。
「日本ではBEVへの考え方がいろいろあり、まだ結論を出すには至っていない。欧州ではすでに結論は出ていて、BEVでないとゼロエミッションができないことになっている。BEVを通して何ができるのか。現実問題として(行政とともに)何ができ、どう実現していくのかに議論が移っている」
アウディを含めた欧州の企業は、「これからはBEVで行く」と腹をくくったのだ。
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