ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)経営を、長年にわたって実践している企業群がある。障がいのある人に「保護より働く機会を」と掲げて1965年に設立された、大分県別府市の社会福祉法人太陽の家と共同出資して特例子会社を設立している大手企業だ。
72年以降、オムロン、ソニー、ホンダ、三菱商事、デンソーなどにより太陽の家との共同出資会社が次々と設立され、障がいの有無に関係なく仕事ができる環境が整備された。同時に、従業員から多くのパラアスリートを輩出し、パラスポーツの発展にも寄与してきた。
これらの企業が支えてきた世界最高峰の車いすマラソン大会である「第41回大分国際車いすマラソン」が、2022年11月に開催された。大会前日にはD&Iの観点から、企業経営を考えるトークショーも開催。本田技研工業(ホンダ)の倉石誠司取締役会長が映像で出演し、「D&IはホンダにとってのDNAであり、原動力である」と語った。
翌日、「大分国際車いすマラソン」のゴールとなる競技場に姿を見せた倉石会長に、D&Iがなぜ経営に必要なのかを改めて聞いた。返ってきたのは「企業として当たり前のこと」という答えだった。倉石会長のインタビューとトークショーを通じて、D&Iと企業経営について考える。
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