今回の高輪店の閉店は、売り上げ不振が原因ではない。国土交通省から品川駅西口の再開発により、移転要請を受けたためだ。
同店のあるショッピングセンター「ウイング高輪」の一部店舗、マクドナルド、エノテカ、マンゴツリーカフェ+バーも、8月31日で閉店となる。
井村屋グループでは「アンナミラーズを止めるつもりはない」と明言している。ところが、「移転先は決まっていない」とのことで、実店舗として復活する具体的な計画が立っているのではないようだ。
あくまで推測だが、コロナ禍で売り上げが激減して、井村屋としても店舗を維持していくのに苦労していたのかもしれない。
人気のアップル、チェリー、チョコレートなどの30種類のホームメードパイの販売は、公式サイトによる通販にて続けていく方針なので、9月以降の高輪店の閉店後でも購入できる。慌てて買いに行く必要がないようにしている。
アンナミラーズは本国である米国でも苦戦を強いられているようで、残っているのはハワイに1店のみである。従って、高輪店の閉店後は当面、店内飲食をしたければハワイまで行くしかないことになる。
アンナミラーズは米国生まれではあるが、クールジャパンの一翼を成す、アキバの萌えカルチャーに多大な影響を与えた重要な店だ。これだけ人気があるのだから、ぜひ近いうちに復活してもらいたい。
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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