しかしながら、アンナミラーズの人気を不動のものにしたのは、独特なメイド風の制服ではないだろうか。
この制服は2000年頃に登場した。東京・秋葉原、大阪・日本橋、名古屋・大須などに広がるアキバ文化の象徴であるメイドカフェやコンセプトカフェ(コンカフェ)の源流となるものだ。
地下アイドル、ローカルアイドルのステージ衣装にも、アンナミラーズの影響を受けたと思しきデザインが散見される。
幾つものコスプレ衣裳店が、アンナミラーズ制服風の衣装を制作して販売。コミックマーケットなどのイベントで、コスプレーヤーがアンナミラーズ制服風の衣装を着て、カメコ(カメラ小僧)に撮影させる光景もよく見掛けられた。
“萌え衣装”として人気のファミレスやカフェチェーンの服は、他にも「神戸屋」「馬車道」「ヴィ・ド・フランス」「椿屋珈琲」などが知られる。しかし、アンナミラーズは断トツの人気で、別格の感がある。
かつてはコスプレーヤー、メイドカフェ店員の中に、アンナミラーズで働いた経験がある人がかなりいた。
芸能人では、梅宮アンナさんが高校時代にアンナミラーズで働いていた。また、村上綾歌さんはアンナミラーズ目黒店(03年閉店)のカリスマ・ウエイトレスとして雑誌『SPA!』で紹介され、そのまま芸能界にデビューした。記事の文は中森明夫氏、写真は篠山紀信氏が担当。
1997年に放映された、TBS系ドラマ『理想の結婚』は、主人公・鞠に扮する常盤貴子さんがアンナミラーズに勤務する関西弁のウエイトレスと設定された。平均視聴率は19.7%で、ハイレベルの結果となった。同年のラブコメディーの代表作となり、主題歌であるZARDさんの楽曲「君に逢いたくなったら…」も売り上げ50万枚を超えるヒット曲となった。
このように、アンナミラーズの知名度は、ドラマや雑誌で紹介されて、1990年代から2000年代にかけて高まり、「かわいい制服のファミレス」としての地位を不動のものとした。
一方で、それが必ずしも集客に結びついたわけでなかったのは残念だ。
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