中西金属工業(NKC、大阪市)がこのほど発売した“冷やすごみ箱”「CLEAN BOX(クリーンボックス)」が話題になっている。
CLEAN BOXは、生ごみや使用済みの紙おむつ、ペットのトイレシートといった“臭いごみ”を凍らせることで細菌の繁殖とにおいを抑制するものだ。2019年に初代CLEAN BOXを100台限定で販売。さらに、後継モデル量産に向けクラウドファンディングを実施したところ、約1000人から4000万円を超える支援を受けた。先行予約も好調に推移し、発売を待望する声が多かった。
そもそもNKCは、自動車のエンジンや新幹線のベアリング(軸受)を保持するためのリテーナーを主力商品としている会社。一般家庭向けのCLEAN BOXは、法人向けの製造業を営む企業から登場した変わり種商品と言えるだろう。
なぜ、冷やすごみ箱というユニークな商品が生まれたのか。開発者であるNKCビジネスデザインセンターの長崎陸氏(※崎はたつさき)に話を聞いた。
長崎氏は「ある家庭で生ごみを凍らせて保管しているのを見たことが一つのヒントになった」とCLEAN BOX開発のきっかけを話す。その家庭では、袋に入れた生ごみをさらにタッパーに入れて、冷凍庫の一部で保管していたという。
生ごみや使用済みの紙おむつは、日がたつと悪臭を放ち始める。もちろん、蓋付きのごみ箱もあるが、その効果にも限界がある。
「ごみの収集日まで生ごみを冷やして保管するのは面白いアイデアだと思ったが、食品を保管する冷蔵庫や冷凍庫で、においのあるごみを冷やすことに抵抗がある人もいる。それなら冷やすごみ箱を作れば需要があるのではないかと考えた」と長崎氏は話す。
同時期に、奈良県のある駅のごみ箱に「介護用おむつを捨てないでください」と書いた張り紙があるのを目にした。こうしたことから、おむつなどの介護ごみに困る人も多いのでは、と着想した。
長崎氏が検証したところ、こうしたごみはマイナス10度以下で凍らせると、ほとんど臭わなくなることが分かったという。のちに実施した臭気測定では、マイナス11度で生ごみを冷やすと、臭いは通常の2万6000分の1に抑えられることが判明した。
千趣会が運営するモニターサイト「ベルメゾンデッセ」が2016年に実施した調査では、約5人に1人が臭いや腐敗を抑えるために冷蔵庫で生ごみを保管していると回答していた。冷やすごみ箱の需要は間違いなくあったのだ。
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