報告書の最後には成果と各事案の検証結果がまとめられている。その中で、「行き過ぎた囲い込みの禁止」については、MNO3社で違約金が撤廃されるなど、改正法の目的は達成されつつあるとしている。しかし、「通信料金と端末代金の完全分離」については、現時点でも課題が存在し、「目標の達成に向けてはなお道半ばと言わざるを得ない」という評価だ。
背景にあるのが、キャリア乗り換えのハードルがほぼなくなったことによる、ユーザーの乗り換えの活発化だ。
キャリアは、端末の大幅値引きによって通信契約を獲得しようとしている。上限2万円規制によって、「数十万円キャッシュバック」というようなかつての極端な状況になることは抑制できているものの、報告書では「今なお、過度の端末値引き等による誘引力に頼った競争慣行から脱却できていない」と断じている。
上限2万円規制を撤廃すると、以前の極端な状況にまで戻ってしまう懸念が払拭できないとし、当面は現行の上限2万円規制を維持し、その順守の徹底を図っていくことが適当としている。
また極端な端末の値引きに対する各種懸念も指摘された。
これらの懸念を踏まえた適切な対応をMNO各社に求めている。
このほかにも、MNPの際に移行先のみで手続きが完了する「MNPのワンストップ化」を23年春頃を目途に運用開始すること、povoのような「一部ゼロ円」料金プランについて、価格圧搾による不当な競争を引き起こすものでないかを検証する「モバイル・スタックテスト」の検討などについても言及されている。
この報告書(案)は7月23日から8月26日までパブリックコメントにかけられている。
大学卒業後、新卒で某百貨店に就職。その後、出版社に転職。男性向けモノ情報誌、携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年にフリーランスライターとして独立。モバイル業界を中心に取材し、『ITmedia Mobile』などのWeb媒体や雑誌で執筆活動を行っている。最近は『ITmedia ビジネスオンライン』にて人事・総務系ジャンルにもチャレンジしている。
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