政府がマイナンバーカードの普及を強力に推し進めている。7月末時点での交付状況は、全国で5815万1191枚。人口に対しては45.9%の普及率だ。これを年度末となる2023年3月末までに「ほぼ全員が取得」を目指すという目標を掲げた。8カ月で倍増させようという計画だ。
そのために次々と手を打っている。6月30日からは、新規取得のほか健康保険証としての利用申し込み、公金受取口座登録などで、合計2万円分のポイントを付与するマイナポイント第2弾もスタートした(記事参照)。直近では、地方交付税の算定に自治体ごとのカードの交付率を反映させる考えも示した。
このために用意した予算は、マイナポイントだけでも1.8兆円。なりふり構わず、早期の普及に向けた強い意気込みが感じられる。
一方で、なぜここまでして普及させたいのかという狙いには疑問もある。「行政の効率化、国民の利便性の向上、公平・公正な社会の実現のための社会基盤」だと総務省はうたうし、デジタル化行政の狙いにおいても、たびたび同様の趣旨の説明がされる。
しかしこれは国民一人ひとりに振られた個人番号、通称「マイナンバー」によって実現することだ。マイナンバーカードは、マイナンバーとひも付いた身分証明書に過ぎない。
マイナンバー制度のメリットとされる、社会保障・税関系の申請時に、課税証明書などの添付書類が削減されるなど、面倒な手続が簡単になったり、時間がかかっていた情報の照合の迅速化や、国民の所得状況を把握しやすくすることによって公平な社会が実現したりするのは、マイナンバーの効果だ。そしてマイナンバーは既に全員に割り振られ、15年10月以降、「通知カード」という形で全国民に通知されている。
マイナンバーを割り振るだけではダメで、なぜマイナンバーカードの取得も必要なのだろうか?
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