【いまさら聞けない】マイナンバーカード、政府はなぜ推進?(2/3 ページ)

» 2022年08月09日 07時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

公金口座登録には必ずしもマイナンバーカードは不要なはずだが?

 例えば、マイナポイント第2弾で推進されている公金口座の登録を考えてみよう。これは、マンナンバーに特定の銀行口座をひも付けるものだ。つまり、各国民がマイナンバー(通知カードで連絡されている)と銀行口座を合わせて登録できる仕組みがあれば、原理的には実現でき、必ずしもマイナンバーカードは必要ない。

 実際、マイナンバーカードがないとできない手続きというのは基本的になく、通知カードに免許証などの本人確認証を組み合わせることで、代替として利用できる。

 ではなぜか。マイナンバー制度やマイナンバーに詳しい野村総合研究所の冨田勝己氏は、次のように理由を説明する。「マイナンバーカードだけでなく、通知カード+免許証などバリエーションがあったほうがいいという考え方もある。しかし、これを受け入れる行政側の体制整備をはじめとする追加コストが膨大となったり、現場の混乱やミスが起きやすくなるなどのデメリットが伴う」

 マイナンバーカードの本質の1つは、デジタルに対応した本人確認証だ。本人確認証の代表例である運転免許証は、目視または紙にコピーして郵送することで本人確認を行うことがほとんどだ。非接触型ICチップが搭載され、読み取り機を使ってデジタル的に本人確認も可能だが、ほとんど普及していない。

 マイナンバーカードには接触/非接触のICチップが搭載され、スマホのカード読み取り機能と組み合わせることで、官民双方の本人確認が必要なサービスにおいて、デジタル処理ができることを当初から想定している。

専用のリーダー機器を使わなくても、スマホにアプリをインストールすれば、スマホからマイナンバーカードを読み取って、本人であることを証明できる(マイナポータルより)。

 そしてもう1つが、(当然だが)マイナンバーとひも付いていることだ。そのため、公金口座とマイナンバーのひも付けも、マイナンバーカード1枚で、かつデジタルで処理できるわけだ。

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