マイナンバーカードの機能がスマホに搭載されるようになる。しかし、当初はAndroidのみで、iPhoneはしばらく先になりそうだ。
総務省は4月15日に、マイナンバー機能をAndroidスマートフォンに2022年度中に搭載を目指すことを明らかにした。一方で、国内で最大シェアを持つiPhoneについては早期の実現に向けて検討を進めるとしている。なぜAndroidだけでiPhoneはまだなのか。
今回の搭載の仕組みはこうなっている。まずマイナンバーカードには、物理的な写真付き公的身分証明書としての機能と、電子証明書を搭載したICチップという2種類の機能がある。電子証明書と暗証番号を利用すれば、電子的に本人であることを証明できる。
スマホ搭載においては、電子証明書の機能をスマホに持たせる。これは証明書をコピーするのではなく、スマホ内に電子証明書を新たに作成し、マイナンバーカードの電子証明書を利用してそれが確かに所有者の証明書であることを保証する形を取る。具体的には、スマホでマイナンバーカードを読み取り、暗証番号を入力して、スマホ内の電子証明書を認証する。
このとき、スマホ内で電子証明書を保存するのが、セキュアエレメント(SE)と呼ばれるスマホ内のセキュリティチップだ。SEはApple PayやGoogle Payなどの決済サービスにおいても、クレジットカード情報などの保存に使われている。
今回マイナンバーカードのスマホ搭載の技術面を開発した、デジタルアイデンティティ推進コンソーシアム理事/情報セキュリティ大学院大学の辻秀典客員教授は、「マイナンバーカードのスマホ搭載は総務省が5年前から検討していたが、技術的に現実的な解がなかった。それに対してSEを使おうと提案した」と経緯を話す。
SEの利点はセキュリティの高さだ。SEはOSとも切り離されており、SE内のデータには他のアプリからもアクセスできない。スマホ内にありながら専用のサーバを通じてだけアクセスできる領域となっている。「SEに触れられるのは国のアプリだけ。そのアプリと民間サービスが連携するAPIを用意する予定だ」と辻氏。こうした仕組みで、セキュリティを保ちつつ、利便性を高められる。
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