ソフトバンクグループ(以下、SBG)は、過去最大の3.2兆円もの四半期赤字決算を発表した8月8日から2日後、今度は次の四半期(第3四半期、7-9月)で4.6兆円の利益を計上すると発表した。
これは、保有株式アリババの先渡し契約(この契約では、金融機関からの資金調達で返済期限時に、現金を返すか、差し出した株式を返済に充てるかが選べる)で、アリババ株で返済する選択を取ることによる4.6兆円で発生した利益計上だ。内訳は、アリババ株式先渡売買契約決済利益が約1.5兆円、アリババ株式再評価利益が約2.4兆円、デリバティブ関連利益(投資損益を除く。本現物決済の対象となる先渡売買契約に係る利益)が約0.7兆円となっている。
アリババオフィス(提供:ゲッティイメージズ)
このうち、アリババ株式再評価利益というのは、今回のアリババ株売却で出資比率が6月時点の23.7%から14.6%に下がった影響だ。これまで株式を20%以上保有しており持ち分法適用会社として簿価で評価していたが、20%を下回ったことで時価評価に変わった。43.97ドルという低い簿価と、91.19ドルという時価の差額が約2.4兆円発生したということだ。
(出所:Nasdaq公式Webページ)アリババ株価推移
孫正義社長が、アリババへの2000万ドルもの出資を、創業者である馬雲(ジャック・マー)氏との5分の出会いで決めたことは有名だ。2000年にアリババへの出資をしてから、20年後には孫社長がアリババ取締役を、馬氏がSBG取締役を退任した。そして、今回の売却でSBGにとってアリババ株は、持ち分法適用会社から一般の保有株となった。
SBGはアリババ株のほかに、保有株式T-Mobileの追加売却やARM(23年中の株式上場と説明)、売却先を選んでいると述べたFortressファンドなども、将来の資金化が視野に入ってくる。
- ビジョンファンドの累計損益はほぼゼロに 守りに入るソフトバンクG
ソフトバンクグループ(以下、SBG)が8月8日に発表した2023年3月期第1四半期の連結決算は、2四半期連続の最終赤字となった。直前期の2.1兆円の赤字に続き、今四半期は過去最大の3.2兆円の赤字だった。主事業であるビジョンファンド投資事業の累計損益は、昨年度つけた7兆945億円をピークに、17年度スタートの1000億円ほどの水準に戻った。人員削減・新規事業の絞り込みといった守りの戦略を継続する。
- 中長期成長に向けた種まき 再度赤字転落のメルカリ本決算
メルカリは8月8日、2022年6月期の連結決算を発表した。脱・巣ごもりという向かい風を受けながらの増収だが、最終損益は75億円の赤字となった。18年に株式上場をして以来、初の黒字決算だった前期から再びの逆戻りだ。
- 富山発祥のゴールドウイン 稼ぎ頭は「ザ・ノース・フェイス」
ゴールドウインは8月5日、2023年3月期第1四半期の連結決算を発表した。原材料高、物流コスト上昇等の減益要因を増収効果等で吸収し、第1四半期決算として売上、利益ともに過去最高を更新した。
- 東大発バイオベンチャー上場会社テラ 破産手続き開始
東大発バイオベンチャー上場会社テラ(2191東証スタンダード市場)は8月5日、同社の取締役会において、破産手続開始の申立てを行うことを決議し、東京地方裁判所に申立てを行い、同裁判所より同日、破産手続開始が決定された。上場企業の倒産はNuts(ジャスダック、20年9月破産)以来、1年11カ月ぶりとなる。
- アマゾン、「ルンバ」の米アイロボットを買収
アマゾンは8月5日(米国現地)、ロボット掃除機「ルンバ」の米iRobotを約17億ドルで買収することで同社と合意した。iRobotのCEOは、コリン・アングル氏がそのままとどまる。Amazonは7月にサブスクでオンライン医療サービスを展開するワン・メディカルを34.9億ドルで買収する発表をしたばかりだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.