リピーターがつくなど、評判の良い商品ではあったが、課題もあった。ブランド認知度の低さである。先出の調査において、natura WATTAの沖縄県内での認知率は31.6%と、競合よりも20〜30ポイントほど低くなっている。なお、WATTAが発売から7カ月後に実施した調査では48.4%だったため、数字上はそれよりも認知されていないことになる。
原因は明確だった。商品名にWATTAの文字があるため、同じブランドだと思われていたのだ。WATTAに次ぐRTDの第2のブランドにしたかった同社のもくろみは外れて、「限定品」や「WATTAのハイグレード版」などという消費者理解がなされてしまっていた。結果的に、売り上げも伸び悩んだ。
状況を打破するべく、急ピッチで商品リニューアルの検討が始まったのである。
新たなプロジェクトが立ち上がったのは今年1月ごろ。ネーミングを「natura」に変えるだけではなく、大きく2つの側面から刷新を進めた。
1つは味だ。既存商品の味わいを好み、リピートしていた消費者は少なくなかったため、味を変えるのは大きなチャレンジだった。それでも変えようと考えた理由は何か。
「WATTAのブランドに対して、甘そうだというイメージが消費者に多かったのです。それとは違うものにしたかった」と浜比嘉氏は説明する。
具体的な取り組みとしては、これまでシークヮーサーサワーだけに採用していた県産のオイルを全てに追加した。オイルとは、果実の皮の部分に含まれる油を抽出したもので、風味や苦味がある。「果汁だけで作るよりも味わいに奥行きを出せます」と浜比嘉氏。
オイルを使う商品は他社にもあるが、なにぶんオイルはコストが掛かる。原材料100キロから1キロ程度抽出できればよい方だという。従って、他社はオイルの成分を含んだ香料を使うケースが多い。
また、果汁の風味を出すための苦労もあった。チューハイを缶に充てんした後にお湯をかけて殺菌するが、あまりにも熱すぎると風味が損なわれてしまう。
「特にシークヮーサーは分かりやすく、カラメルみたいな香りがついて、中身の色も茶色っぽくなってしまいます。トータルで2カ月くらいはテストを繰り返しました」(浜比嘉氏)
その他にも細かな調整を加えることで中身を一新した。最も味の方向性を変えたのはレモンサワーである。
「以前のような甘さも感じてもらいつつ、レモンらしい酸味を出しています。全体的に爽やかな後味にしたことで、より食事に合わせやすいものになりました」(浜比嘉氏)
かーぶちーサワーは、もともと味の評価が高く、この味が好きだから買うという消費者が多かった。そのため、大きな手は加えていないが、オイルを使って味の奥行きを出した。
甘さを抑えたドライな飲み口だったシークヮーサーサワーは、皮由来の渋みをネガティブに感じる消費者がいたこともあり、渋みを柔らかく、飲みやすくした。
naturaシリーズの開発においては、原料調達も悩みの種である。
「マイヤーレモンやシークヮーサーはまだ何とかなりますが、かーぶちーはそもそもの生産量が少なく、さらにそこからストレート果汁を作るとなると、量は限られてしまいます」と浜比嘉氏は語る。
かーぶちーサワーはレモンサワーの5分の1程度しか製造できないため、基本的には沖縄県内のスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどにしか流通しておらず、県外への出荷は行っていない。生産量の増強が今後の課題としては残る。
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