消費者の傾向、若者の価値観、働き方の変化――このコーナーでは、ビジネスパーソンの働き方や企業の戦略立案に役立つようなさまざまな調査データを紹介していく。
医療人材総合サービスを展開するエムステージ(東京都品川区)は「医師の燃え尽き症候群(バーンアウト)についてのアンケート」を実施し約600人の医師から回答を得た。燃え尽き症候群になったことがあると答えた医師は42%に上り、発症のタイミングやきっかけについて聞いたところ、1位は「専門医の取得後」と「初期研修時」(ともに20%)だった。
燃え尽き症候群とは、それまでの熱意や意欲が燃え尽きたように突然、やる気を失ってしまうこと。一つの仕事や目標に「頑張りすぎる」ことが発症の原因とされている。
発症のタイミングやきっかけの3位は「後期研修時」(16%)、4位は「異動した後」(13%)、5位は「新型コロナの感染拡大」(10%)だった。約1割の医師が「新型コロナの感染拡大」により燃え尽き症候群になったと回答した。
「燃え尽き症候群」になった原因について尋ねた。1位は「業務量の多さ」で161件、2位は「長時間労働」で139件、3位は「十分な休日を確保できない」で133件、4位は「上司や先輩医師との人間関係」で120件、5位は「給与が低いなど経済的な問題」で68件だった。
「多忙・長時間労働」が原因と答えた医師からは、「激務の病院で月の残業200時間を超えるような環境で頑張っていたが、1年半ほど経過した時点で心身ともに疲れ果ててしまった」という声や、「1週間で7時間しか寝ていない仕事が続き、救命できてもうれしいとは思えなかったし、まるで余命を即座に見据えることができるベルトコンベアーの上を患者さまが流されてくるように思えた」など、長時間労働で心身ともに疲れた、おかしくなったという声が多く聞かれた。
「当直・オンコール」が原因と答えた医師からは、「当直が週3回あったのがきつく、涙が止まらなかった」「当直月8回できつかった」「月28日くらいオンコール。平均2、3回呼ばれる。下手すりゃ徹夜という状況が続いた」などの過酷な労働環境についての意見が多かった。
現在、新型コロナウイルス感染の第7波が続いているが、「新型コロナ対応」と「答えた医師からは、「土曜日の一人外来にコロナ患者が集中」「コロナ患者が増え、業務多忙となるも手当てなどつかず安月給のまま」「患者家族の対応と、クラスター対応で疲れてしまった」などの声が多く、実際の医療現場の厳しい状態がうかがえる結果となった。
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