ロボアドバイザーサービス最大手のウェルスナビが、2020年末の上場から2年半で四半期黒字化した。柴山和久CEOは「成長投資を維持しながら、自然体での黒字化を達成できた」と話す。22年12月期は通期黒字も見込む。
第2四半期に当たる4-6月期の売上高は16億3000万円(54.3%増)で、営業利益は前年同期の5100万円の赤字から6500万円の黒字に転換した。上期累計でも3000万円の黒字となっており、通期で3300万円の黒字を会社予想としている。
当初から22年12月期のどこかでの四半期黒字を予定していた。第2四半期の広告宣伝費は、5億2300万円と前年同期から約1億5000万円増加しており、積極投下しているが、当初計画からは絞り込んだことによって黒字化が早まった。直近の株式相場は不透明な環境が続き、急速な円安もユーザー心理に影響を与えたのが理由だ。
「円安によって資産運用の開始を少し先延ばしにしている人が多い。それが広告宣伝費の効果に影響を与えている」と柴山氏は言う。
ウェルスナビは金融事業でありながら、SaaSに近い事業モデルを標ぼうしている(記事参照)。SaaSのビジネスモデルでは、ユニットエコノミクスが健全ならば可能な限り早期に新規ユーザー獲得のための投資を行うのがベストプラクティスとされている。そのため、広告宣伝費支出前の営業利益が黒字で増加していれば、営業利益の赤字は気にしない経営者や投資家も多い。
柴山氏は、必要な投資を行った上での自然体としての黒字化だとしながらも、比較的早期の黒字化を目指してきた理由として、顧客の違いを挙げる。「一般的なSaaSとの大きな違いは、顧客が法人ではなく個人であることだ」(柴山氏)
現在ウェルスナビの1人あたり平均預かり資産残高は約200万円だが、顧客の老後に向けた目標資産額は約2000万円だ。現在の10倍の資金を預ける先として、知名度があり財務的に健全な企業であることが重要になると柴山氏は見ている。
「本質的には広告宣伝費を除いた黒字が重要だが、赤字が継続することは懸念材料だろう。赤字は預け入れ資産を増加させていく上での障害になり得る」(柴山氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング