ハイエンド市場でiPhoneの圧倒的優位を崩す存在として最も有望視されているのが、折りたたみスマートフォンだ。中国でしか展開されていない商品が多いため、日本では実感しにくいものの、同市場は急激に伸びている。
カウンターポイントは世界の折りたたみスマートフォン市場での出荷台数が、21年の900万台から73%成長し、22年に1600万台、さらに23年には2600万台に達すると予測する。
物価高やコロナ禍で経済がぐらついてもラグジュアリーブランドや高級マンションが売れまくっているように、スマートフォンでもプレミアム市場は経済の逆風の影響を受けにくいというのが、カウンターポイントの見立てだ。
実際、8月10日、11日の2日間だけでサムスンのGalaxy Fold 4、Flip 4、シャオミのMIX Fold 2、レノボ傘下・モトローラのMoto razr 2022と折りたたみスマートフォン4機種が発表された。
中国ではファーウェイやOPPOも折りたたみスマートフォンを出しており、アンドロイドスマートフォンの戦場の中心になりつつある。
ただ、ここでもシャオミは存在感が薄い。19年に世界で初めて折りたたみスマートフォンを発表したサムスンが市場をリードしており、サムスンの力が弱い中国市場に限るとファーウェイがシェアの半分を握っている。
シャオミは元々、アップルによる製品やマーケティングを巧みにローカライズして人気を博した企業で、マーケティングのうまさは誰もが認めるところだ。その反面、「イノベーション」のイメージを高められないことが、アップルやファーウェイとの差にもなっていた。
24年のEV発売を目指している同社としては、スマートフォン事業で一層の弾みをつけたいところでもある。市場の地合いが悪く、iPhone14も近く発売される中、「MIX Fold 2」がどこまで健闘するか注目される。
早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。
最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。twitter:sanadi37。
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